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【社長対談vol.07/JIMOTO】東日本大震災を乗り越えて<5>

 

今野/地域の活性化ということで、深松さんにお聞きしたかったことがあるんです。
沖縄やミャンマー、ご出身地である北陸・富山と、事業領域を広げつつ、海外も含めて活動エリアも拡大していますが、ホームページを拝見すると「地域」という言葉を大事にされていますよね。

「地域のために」という想いは私も同じなんです。今まで十把一絡げで「大都市に対する地方」とひとくくりにされてきましたが、やはり東北には東北の良さがあります。首都圏との適度な距離感や、食の宝庫であること、豊かな自然、真面目な県民性…。今回のコロナ禍の中で、地域ごとに特長があり、それを磨いていかなければならないと再認識しました。そして、当社が考える「地域」とは「仙台・宮城・東北」であり、この「地域」へ事業を通じて貢献するんだ、と見定めるきっかけになりました。

深松さんは仙台ももちろん大事にされているし、沖縄でも地元の事業者に対して仕事をどんどん出していますよね。「地域」についてはどのように捉えてらっしゃるんですか?

 

深松社長/私が生まれた富山県朝日町の笹川地区は、トンネルを越えたら行き止まりの112世帯の集落なんです。小学1年生のときに仙台に来たので、圧倒的に仙台歴が長いんですが、我が家の本家は富山であることは変わりません。
笹川地区の水道は、112世帯がお金を出し合って運営しているもので、前に作ったものは相当古く、毎年パンクしている状況でした。水が出なくなれば、この土地に住めなくなる。

でも、水道の入れ替えをするのに3億円かかるんです。この額は限界集落に住む高齢者の皆さんには払えません。何とかしなきゃいけないと思っていたら、その地区に流れる「笹川」で発電する権利が空いていたんです。ここに発電所を作って、同時に水道の入れ替えもしようと提案し、自治体や地元協力企業の協力も得て実現させました。万が一、会社が潰れたときのために発電所・水道全体を信託にして、20年間安全安心で水道が使える環境にしています。この仕組みは全国で初。SDGsの最たるものだと思っています。今の時代はESG投資です。環境だけでなく地域を守るという要素も入っていますよね。

それ以前に、私にとっては自分のルーツですから。地域の方々も喜んでくれていて、行けばたくさん声をかけられます。仕事をしていてあんなに喜ばれることはありませんし、ましてや自分の故郷を守れるなんて。たまたま地域の「恵みの川」が、本当に恵みの川だったねとみんなで話しているところです。嬉しいですよね。こんな恩返しができることなんてそうそうないですよ。

 

今野/ご自身が縁あったところが、深松さんにとっての「地域」なんですね。そして、自分の利のためではなくて、その地域のために動かれている。今まで培ってきたノウハウを活かして、超えたことのない壁であれば、ぶち当たって挑戦していく姿勢が「地域のために」という言葉に表れていると感じました。

 

深松社長/地域の方々と一緒に発展していく。私の中には常にその考えがあります。
世のため・人のためとよく言いますが、そういうことは時間がかかっても絶対成功します。これが自分のためだったら成功しません。

見透かされて、見捨てられておしまいです。それがここにきて自分でもよく分かってきました。当社の経営理念は、「信用を重んじ建設事業を通じ地域社会の繁栄に奉仕する」なんですが、まさしくこれですよね。知らず知らずのうちに創業以来の経営理念にしたがって動いていたんです。

 

今野/実際に、宮古島も朝日町も、その地域にとって必要なことをやってらっしゃいますからね。
当社の創業事業である印刷業は、地域密着型・地場産業と言われているんです。街のお困りごとを何でもご相談いただいて、形にしてお届けし、それを使って商売していただく仕事なので、拠点のある場所から、影響が届く範囲が遠心的に広がっていくイメージなんです。当社は仙台を拠点としているので、これまで影響力を及ぼせる範囲は宮城県内まででしたが、共通の課題も多いものですから、今はそれを東北に拡げていこうとしている段階です。

 

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関連サイト

深松組ホームページ

Credit

Creative Director & Designer/ 田向 健一
Interviewer & Writer / 上和野 佐恵

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