【2021年04月特集】白石川堤一目千本桜を通して見えた東北とユーメディアグループの姿

 

ユーメディアグループは、地域に寄り添い、地域とともに歩みを進め、地域の価値を発信してきました。白石川堤一目千本桜のブランド化事業が代表例にあります。

そして現在、「新しい価値を創る」という取り組みに力を入れています。

それを象徴する事業例となったのが、“「白石川堤一目千本桜」冬の桜スポットを拠点とした魅力的な夜の滞在コンテンツ造成と磨き上げ実証事業” 。

※この事業は観光庁による「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」における実証事業です。

出典:観光庁ホームページ「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」における実施事業の公募について

 

おもいを、カタチに。みんなを、ゲンキに。

私たちのすべては、その実現のために。

 

当社に根付く、このビジョンを社員たちはどう体現しているのでしょうか。

そこで、キーワードになるのがこの事業です。

また、この事業には、近年UターンやJターンにより入社したメンバーも多く関わりました。

新たな視点を持つ社員を交え、これまでの地域との関わり方を振り返りながら、グループが持つ強みを軸にしてこれからの姿について語り合いました。

 

◆座談会参加メンバー◆

(株)ユーメディア

  • 地域ブランディング事業部 部長 佐藤 広美
  • 地域ブランディング事業部 地域ブランディング1チーム 三浦 真奈美(Jターン)
  • メディアクリエイション部 デジタルマーケティングチーム 相原 勇士(Uターン)

(株)プレスアート

  • 営業局 クリエイティブ部 鮫島 雄一(Uターン)

 

目次

1.実現した滞在コンテンツ造成

2.地域との関わり方

3.東北から世界に

4.おもいを、カタチにする

 

1.実現した滞在コンテンツ造成

広美:震災10年を経て世界から注目を集める存在となった東北の魅力とその価値を高める仕事に実際に取り組んだ人同士で、あらためて東北の魅力について感じたことやこれからどんな姿勢で東北という地域と向き合っていくのか等を語りあいたいと思います。

突然のコロナ禍で、日本の観光はあらたな生活様式のもと変化を求められました。対策として観光庁は、昨年からコロナ禍でも安心して楽しめる滞在コンテンツ造成のための実証事業の公募を募りました。

『誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成における実証事業』といいますが、白石川堤一目千本桜の名所である宮城県柴田町の観光関係者と協働で企画を立ち上げ、全国から2000件以上の応募が殺到した中、10倍の倍率を勝ち抜いて採択いただきました。

主な目的はマイクロツーリズムの活性化です。

宮城県柴田町とユーメディアは、白石川堤一目千本桜を舞台に、5年前から台湾やタイをターゲットにインバウンドに取り組んできたわけですが、コロナ禍でマイクロツーリズムを意識した戦略も併せて持つ機会に恵まれたと前向きに捉えています。

 

【2019年05月特集】ゴールは“地域活性化”。 まちを元気にする、私たちの「海外プロモーション」

 

そして企画だけではなく、事業自体もユーメディアが請け負い、皆さんと一緒に取り組んだわけです。

春にあっという間に咲いて散る桜は、日本人にとって特別です。

全長1200km、大木の桜並木が続く白石川堤一目千本桜は圧巻のひと言。今回の事業では、冬の一目千本桜に“光”をともしてその価値を高めていこうと考えました。

その先には、地域の方が誇れる、国内外の方が四季を通して訪れてもらえる場所にする、そういった狙いがありました。ドローンで撮影した映像は全世界に配信しました。

 

>>柴田町「一目千本桜ライトアップ動画【shortバージョン】

 

また、今回インバウンド戦略になかった視点で力を入れたのが、もうすぐ100歳を迎える白石川堤一目千本桜の100年の歴史を知り、『奇跡の桜』として地域住民の誇りとなる“ストーリー”を提供することです。

まず、イベントポスターでメッセージを発信しました。

“何故、冬に光を灯すのか”、その問いの答えをポスターで表現したかった。

結果、仙台広告賞ポスター部門金賞を受賞させていただきました。

 

また、プレスアートで発行する「大人のためのプレミアムマガジンKappo」で、『HISTORY OF 奇跡の桜』という特集記事を掲載しました。

それを改めて、地域のボランティアガイドの方々にセミナーという形でお伝えしました。

地域の方が誇りを持って観光地にしていこうという取り組みと、国内外の方も楽しんでいただける滞在コンテンツ造成事業を一連で取り組んだのが今回の事業でした。

事業を通してここにいる皆さんの取り組みの様子や言葉など新鮮なことが多かったです。それぞれ専門分野で関わった皆さんの気づきなどを語ってもらえたらと思います。

 

真奈美:私は、生まれも育ちも福島ですが、昨年10月にユーメディアに入社するまでは東京で働いていました。こちらに来てから、首都圏とは違った地方の魅力や、東北の人々の人間性について改めて実感する日々を送っています。

今回の事業では、滞在コンテンツ造成を目的としたナイトツアーの企画・運営から携わりました。あわせて開催した「一目千本桜ライトアップ HITOME SENBON LIGHT BLOSSOM 柴田町Instagramフォトキャンペーン」(リンク)では、700件以上(リポストを含む)の投稿を頂きましたが、宮城県内の方が多い印象でした。さらに、当選者に商品を発送するため住所を聞いたところ、柴田町の方が複数名いらっしゃいました。町民の方々が、こんなにも素敵な写真を日々撮影していることを知り、非常に地元愛を感じました。

広美:大々的な宣伝もしてないのに、地元の方が見つけて投稿してくれたんですよね。

真奈美:「花のまち柴田」イベント開催実行委員会のフォロワーさんなど、地元の方がすぐに気付いてくれましたね。

 

相原:僕は昨年2月に入社しました。一目千本桜のライトアップ動画を世界に向けて、YouTube動画広告という形で配信する施策を考えるところから始めました。

最終的な成果としては再生回数10万回を超えました。動画広告は観たい動画を観ようとする前や真っ最中に入るので、基本的にネガティブな印象を抱く人が多いと思うんです。でも、今回動画を観ていただいた方からのコメントはとても評価がよかったです。

広美:VeryGood!と入ってましたね。インバウンドも意識して作ったせいか、外国人の方からコメントをたくさんいただきました。

相原:今回の広告配信では3つのデータがとれました。クオリティの高いコンテンツを作れている証明と、再生回数、そして「どういう人に配信したか?」の3つです。最終的な誘客につなげるための途上の数字ではあるんですが、ある程度の規模のものがわかりました。どれも今後に生かせるデータです。

 

鮫島:入社は2019年9月で、入社してからちょうど1年半ほどになります。

前職は東京で雑誌を中心としたフリーの編集者をしておりまして、旅が伴う企画も多く手掛け、地方へ取材にいくこともよくありました。今回の一目千本桜に関しては、Kappo掲載用のページ構成・取材・原稿を一部書いているのと、冊子の制作に携わらせていただき、広美さんと一緒に柴田町を訪ね、町の桜の歴史など、関係者にお話しを伺いました。

入社してから多数の自治体のパンフレットやガイド本の編集担当をしていますが、さまざまな地域を取材していると、町の人たちにとっては普通だと思っている文化や風景が、外から見ると「これってすごく面白いことなんじゃないんですか」と感じることがよくあるんです。

柴田町の一目千本桜に関しても、“ある有志が100年後の町の風景を思い描き、「桜の名所にしたい」という思いを込めて植え始めたという歴史を識者に伺いました。

ちょうど100年経った今、先人が思い描いた通り名所として多くの人に親しまれているという現在の桜の姿を見て、とてもロマンチックな話だと感銘を受けたのですが、実はそのことを町の人はほとんど知らなかったんですよね。なので今回のページは、綺麗な桜の裏にある深い物語を読者に伝えるだけではなく、町の人たちにとっても自信や自慢になる物語にまとめられたらと思って編集を手掛けました。

広美:取材中も知らなかったことがたくさんあって、みんなで‟え~!“みたいになりましたよね。

鮫島:今ちょうど、広美さんと一緒に構想を練っているガーデンツーリズム事業で、柴田町と花の関係について調べていたんです。

調べてみると柴田に植えられている桜には一本一本、植えた町民の名前が残されていたり、ガーデニングにこだわる人も多く、オープンガーデンとしてだれでも花を楽しめるように庭を開放したり…、本当に町民は花を愛しているんですよね。これって他の地域にはない文化だと思うんですよ。

庭を開放して花をみせるってすごいことだけど、柴田の人々にとってはそれが普通で。そういう町独自の魅力的な文化を掘り起こして、おもしろく‎コンテンツにして紹介するというのが編集者の役割です。

それが僕たちが町に対してできるアプローチであり、あの町に行けばこんな面白い出会いがあるという気づきが、KappoやS-styleの紙面づくりに生かされているのかなと思います。今回制作した冊子はぜひ町のみなさんにも読んでほしいですね。

広美:実際にも「町民の皆さんにこの冊子を配ってもいいくらいだ」いう風におっしゃっていいただきました。私たちは美しいものを美しく見せる情報発信だけでなく、歴史やストーリーをカタチにして表現することができるんだと改めて実感しました。

鮫島:今はコロナウィルスの影響で観光客と住民の関係が、すごくセンシティブになっていて、町を訪れるということ自体もナイーブな時期ではあります。

そんな時だからこそ、町にはこんな歴史があるんだなど、自身の住む町を見つめ直し、来るときに備えて町民が町の文化に自信を持てるようなコンテンツをもっと作っていきたいですね。

広美:「一目千本桜ってすごい」という話があっても、「桜って見て終わりだよね、他に何があるの」って。そこで、「アクティビティ何かつくる?」ではなく、背景にある歴史や人の営みがあるから100年も保たれているんだよと伝えると、その桜の見方が全然変わってくる。

私たちが関わることによって、それをカタチにしていける。ここをコンテンツ造成の軸にしていくことが、地域にとってとても大切なことだと思います。

 

2.地域との関わり方

広美:コロナ禍の滞在コンテンツ造成といってもピンとこないと思いますが、今回一緒にやりましょうと動き出すことができたのも、地域に近い存在だったからだと思います。

今までは、情報発信に関する課題を一つ一つ解決していく寄り添い型のビジネスでしたが、提案先行型のビジネスモデルを目指したい。会社のツールや企画力を多角的に活用していくと地域の魅力をカタチにすることから始められると思っています。

鮫島 :主観ですが観光地としてうまくいっている町は、外からの人の流入に寛容な気がします。そういう外の人からの意見をうまく取り入れてるところが、結果すごく面白いコミュニティを生み出しています。

前に取材した福岡の糸島も、若い人たちを受け入れて物作りをする環境を与えることで、新しいカルチャーが生まれていて注目を集めていますよね。

人を町がうまく使うというという表現はおかしいかもしれないですけど、うまく外の力も取り入れることで、今までにないコンテンツが生まれると思います。そういった役割をユーメディアしかりプレスアートが担っていき、魅力的なコンテンツ作りを提供していきたいですよね。

特に、町とクリエーターをコラボさせるなど、人と人とを繋げるということは最近よく意識しています。

 

「白石川堤一目千本桜」冬の桜スポットを拠点とした魅力的な夜の滞在コンテンツ造成と磨き上げ実証事業”によりライトアップされた一目千本桜と船岡城址公園

「白石川堤一目千本桜」冬の桜スポットを拠点とした魅力的な夜の滞在コンテンツ造成と磨き上げ実証事業”によりライトアップされた一目千本桜と船岡城址公園

 

広美:これからは、人と人を繋ぐことが、新しい価値をつくることになるのでしょうね。柴田町との関りもそうですし、他の町でもこういった繋がりができています。人と人のつながりや、想いが重なっていくと、“さあ、これからどうする?”となり、カタチになったときにとても充実感がある。社員にもぜひ、そこを端折らずに仕事をしていってほしいな。

その町に足を運ぶのと、運ばないのでは、内容が全然違ってきますよね。そこを決して怠けずにやる、これも当社の価値だと思っています。

相原:Web業界って一番現場に足を運んで仕事をするっていうことに縁が遠くなりがちな業界だと思っています。「取材する町の何から何まで知っておく」ような、泥臭いことはやらないみたいな仕事だと思われがちで、実際そういう体制に無意識的になってしまうんです。

でも、僕はそうではなく、今回実際にこのイルミネーションに足を運ぶことで感じた想いや、聴くことができたお客さんの声に、チームや僕が持ってる分野の知識を最大限に入れ込むことで、ボトムアップできるようにしたいと考えています。それがユーメディアの中でのWebの位置づけかなと思います。

 

3.東北から世界に

広美:世界から見たら、東北の地域性は独特だと思うんですね。

世界でも行ってみたい観光地として上位にあって、地域性や文化的なことは世界からも注目されているので、東北に暮らすものとして関わっていきたいと思うんですね。他の誰かではなく“私たちが”やりたい。

相原:僕自身、Web業界、東京で働いてきて気づいたことは、「商品を買ってもらいたい」「集客したい」といった目的があるときに、世界に向けて発信したり、日本国内全員ターゲットにしたりすることは正直、手法としては難しい話じゃなくて。例えばYouTubeのような、全世界向けのサービスを作って広めようと思ったら、全世界の人を対象にすればいいだけなんです。

でも、こうして発信するコンテンツ自体は、コンテンツの魅力は‟これです“って、まとまってから初めてできること。

東北を世界に向けて発信したいとなったときに一番パワーがいるのって、歴史だったり、この人しか知りえない情報を引き出して言語化したりっていうのを、世界中の人々にわかりやすいように整理して、まとめてコンテンツとして作り上げ、出すところだと思います。

そのパワーをより推し進めていくところが、Web業界にいる一方で、「東北の地域性」という視点がたりなかった僕が、これからやっていくべきこと、ユーメディアの中でできることなのかなって思います。

鮫島:さっきの話と支離滅裂になるかもしれないですけど、TVを観ていて知ったのですが、外国のツーリストってなんでも揃う都市よりも、あんまり手がついてない、趣向を凝らしていない昔ながらの文化が残る町に旅行する人が多いらしいんです。

広美さんとも前に話していましたが、東北の文化は謎めいていることがたくさんあって、行ってみないとよくわからない、魅力が計り知れない場所がけっこう残っている。そんな場所が内に秘めているおもしろみを発掘して、その断片を見せることで、外国人ツーリストの興味を惹くのかなと思っていたりもします。

 

4.おもいを、カタチにする

広美:私、3年前に取材いただいたインタビューで、何をしたいですかと聞かれてブランディングしたいといったんですよ。

ブランディングって当時の仕事からするとめずらしい仕事で、それが今の「地域ブランディング事業部」につながっていて。あの時はあるものの価値を高めていくという感じでしたが、これからは新たな価値に変えていくことだと思っています。

真奈美:”地方の魅力づくり”というと、NEWを創るのではなく、今あるもの、長年培ってきたものを尊重し、新しいカタチとして発信することが大切だと思います。

今回の事業では、一目千本桜が春だけではなく、冬も観ることができるということが実証されました。一目千本桜が新しいカタチづくりの象徴になることを期待しています。

広美:それも新しい価値ですよね。今回のKappoも春と冬の写真を対比させましたよね。

鮫島:一目千本桜の魅力はまだまだ眠っていると個人的には思っていて、だいたいこの場所を思い浮かべる際は桜と川と山と電車という絵を想像しますよね。

でも、4号線のバイパスをハーレー乗ったおじさん達が桜をバックにツーリングしていたりするので、その姿を撮ったらかっこいい絵が撮れるんじゃないかとか、そういうサブカルチャー的な事象もまだ掘り起こせる気がします。

広美:それをね、この間のインスタキャンペーンみたいに、どんどん発信していくような流れができるとおもしろいですよね。

鮫島:そうですね。町の魅力を発信する独自のパッケージを作って、町が変わったとしてもしっかり反響が望める、オリジナルプロットやコンテンツを生み出していきたいですね。

広美:ユーメディアは、専門部署から集まったメンバーでチームを組んで仕事をするので、視野も自然と広がって、さまざまな最終形に対応します。業務領域が広い会社。

鮫島:プレスアートで言えば、Kappoのような紙ベースもありますけど、今はWebにも力を入れて連載しているので、グループ全体でかなりのコンテンツ量を町のために作れる。これはすごいことだと思いますね。

広美:今後はグループが持つ膨大なコンテンツを一つにして、大きな動きにつなげていきたいと思っています。

Credit

Writer/阿部ちはる

Category(カテゴリー)

Recent Topics(最新の特集)

Recommend(おすすめ情報)