Route 227s' Cafeのこれまでとこれから

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2025年4月に、Route 227s' Cafeキッチンカーがデビューしましたこれは、2019年から勾当台公園市民広場で展開していたカフェ・レストラン「Route 227s' Cafe」が勾当台公園の再整備に伴い終了するのを機に、新しい形で食を通したコミュニケーションを創出しようとつくられたもの。カフェ・レストラン時と同様に、(株)ハミングバード・インターナショナル様と当社が協働で運営します。これまでのRoute 227s' Cafeを振り返り、そこで生まれた価値がキッチンカーを通じてどのように皆さんに届けられるのか、今後どのように成長していきたいかなど、初期のプロジェクト推進メンバーと共にお伝えします。

<取材対象者>

地域ブランディング事業部 執行役員 佐々木 和之
地域ブランディング事業部  CS1チーム 課長代理 児玉 龍哉
メディアクリエイション部 プランニングチーム 課長 田向 健一
メディアクリエイション部 プランニングチーム 副長 岩本 理恵

 

【レポート】Route 227s’ Cafeクロージングセレモニー

3/29(土)30(日)に、クロージングイベント「Route227s' Festival TOHOKU 〜To be continued〜」を催しました。主催者である仙台市、運営事業者である「東北の魅力創出コンソーシアム」(()ハミングバード・インターナショナル、()ユーメディア)が、これまでご利用いただいたお客様への感謝の気持ちをお伝えするとともに、キッチンカーのお披露目を行いました。29日はセレモニーが行われ、郡仙台市長と()ハミングバード・インターナショナル青木社長、当社社長の今野による挨拶がありました。

仙台市長 郡 和子氏

「私自身もお店に何度か足を運んで、その都度、東北にはこんなに美味しい料理、食材があるんだとその魅力や奥深さを感じ、とても勉強になった場でもあった」と郡市長。個別インタビューでは「定禅寺通はいろいろなイベントが行われますが、ここのテラス席がそのときの景色の1つになって賑わいをもたらしてくれた」とも話してくださいました。

 

()ハミングバード・インターナショナル 代表取締役 青木 聡志氏

各自治体の思いや生産者の方の声を直接聞くことができ、課題に一緒に取り組める価値ある事業だった」と青木社長。続けて、「今後も227プロジェクトは続く。これからも地域のために、地域と共に挑戦し続ける。その媒体として飲食を手掛けていく」と意気込みを語りました。

 

()ユーメディア 代表取締役社長 今野 均

「店名のRouteは“道”。様々な市町村との道をつないできた場であった」と今野社長。今後のキッチンカー事業についても、「その道をつなぎ続けていきたい。今後はキッチンカーとして積極的に自ら動いていく形になるので、また新たな価値創出につながりそうな期待感がある。宮城・東北の発展に寄与できれば」と思いを語りました。
 
 

店舗のガラス窓が寄せ書きスペースとなり、お三方もメッセージを残しました。

 

【プロジェクト推進メンバーによる座談会】

共創で得たもの

 

岩本:もともと6年間の契約で始まった「Route 227s’ Cafe」(以下、227カフェ)が、あっという間に満期を迎えて終了となりますね。

佐々木:あっという間だね。この事業は「東北の食材を活用するカフェ・レストランの設置等による東北の魅力発信事業」というもので、仙台市から公募が出たときは、ユーメディア(以下、UM)がちょうど、定禅寺通のにぎわい創出を模索していたタイミングでもあったんだよね。UMは以前から勾当台公園などで“イベント”はやっているものの “飲食店営業”のノウハウは無かった。だから飲食のプロと組もうということで、ハミングバードさんと一緒にやる話がまとまったんだよね。「東北の賑わい創出コンソーシアムとしてタッグを組んだのが特徴的だったね。

岩本:そのやり方がとても新鮮でした。ハミングバードさんと組むことができるんだ!って。

田向:新しかったよね。僕も、このとき初めてこういう仕事のつくりかたをした。

児玉:ハミングバードさんとはそれまで、イベントで運営と出展者という立場で組むことはあったけど、一緒に運営するというのは斬新でしたね。ハミングバードの青木社長からは、東北の魅力発信部分についてUMにとても期待していただいているのを感じました

佐々木:ハミングバードさんは、勾当台公園で飲食の店舗を構えるイメージはすぐに湧いたと思うけど、東北との連携については専門分野じゃないからUMに可能性を感じて声をかけてくれたんだろうね。

岩本お互いのできることとできないことが、パズルのようにうまくはまった感じですね。

佐々木:それがまさに共創だよね。同じジャンルのところが組んでもあまり共創にならない。全く違う業態で、でも東北の魅力を伝えたいという同じ思いがあるからこその合致なんじゃないかな。思いが一緒で、手段が違うからこそ組める

岩本:今はもう「227」が私たちの中で定着していますけど、これは提案準備をしているときに田向さんが「東北って227市町村あるんだよね」って言ったのがはじまりでしたよね。各市町村の特産をエクセルの表にして。

田向:それまで、「東北6県」と言われることが当たり前だったけど、なんかそこに疑問があって。僕のおばさんが青森県の大間町に住んでいて、大間ってマグロが有名なんだよね。だから、「青森といえばりんご」というイメージだけだと大間の人たちは嬉しくないんじゃないかなと。そう考えると、各市町村にそれぞれの魅力があるはずだから、市町村ごとの特産品を出してみようかなと思って作ったのがこの表だね。

佐々木:今までの「東北の切り取り方とどう変えるか、どこまで細分化させるかは悩んだけど、たとえば「山形って言うよりも最上町と言ったほうが、魅力がより届くんじゃないかって気づいたんだよね。

岩本:無事に受託して進めていくとなったとき、東北227市町村とコラボレーションしていくという私たちのビジョンを実行に移すのは、実際はけっこう大変でしたよね。半分はコロナ禍でしたし…。

佐々木227カフェのもともとのコンセプトは、「ここに来てもらって・東北を感じてもらって・知ってもらいたい」だった。でも、コロナ禍で集客を目的にできなくなったとき、この場所の機能は、ただ人を集めるというのではないよねと立ち止まれた。各市町村の魅力を、食べてもらう(メニューにする)こと自体をもっとやらなきゃいけないねって。“東北を感じられる店”というぼやっとしたイメージから、“東北を味わう店”として1つ1つの企画の精度を上げていけた。

児玉:そうですね。最初は自治体をPRするイベントを中心に考えていて、ハミングバードさんとの定例の打合せも悶々としていた時期があったんですけど、あるときダメもとで「自治体フェアのメニューをグランドメニューにしてほしい」と相談してみたら「やります」と言ってくれて。それが始まったら、来店したお客さんには食べて満足してもらえたし、コラボした町にも満足してもらえて。一度コラボした自治体は、ほぼリピートしてくれたし。

佐々木:成功体験が見えてきて、お互いの気心も知れてきて、こうすればいいのかというのが見えてきたんだよね。児玉くんが一歩踏み込んでくれたのが大きいだろうね。

 

「道」をつなぎに行く

 

岩本:店名についてもみんなで話し合いましたね。まだまだ東北には魅力がたくさんあって、伝えきれていないことがたくさんあって、それを料理とコラボレーションして発信することを、どう表現するか。

田向どういう視点で東北を捉えて、その拠点にしていくかということの議論に、すごく時間を使ったよね。

佐々木 227というキーワードは出ていたから、それを店舗名称としてどう表現しようかを考えた時に、「」「つなぐ」というキーワードが出てきた。

児玉:佐々木さんがシャワーを浴びているときにRouteっていう単語が降りてきたんですよね()

佐々木:そうそう。それを岩本さんがコンセプトメイクしてくれて。

岩本:「道」っていうキーワードが出てきたことで、「ここで食べたものを現地に味わいに行ったりするんだな」とか、「現地で味わい足りていなかったものをここで見つけたりするんだな」という、この拠点と各地がつながる絵がわーっと浮かんで、このメッセージが出てきました。

店内奥の壁面をUMが企画。東北の魅力発信を感じさせるものにと、東北227市町村を文字で表現したビジュアルを施した。「行くたびに自分や友人の出身地を探した」というお客さんの声も聞かれた。

 

 

岩本:コラボすることで喜んでくれる自治体もどんどん増えてきたじゃないですか。そういう反応を見ていてどうでしたか?

児玉:本当にうれしかったし、誇らしかったですよね。コラボしたのは延べ80自治体くらいで、その中にはリピートしてくれた自治体もあったので。

岩本:それだけ満足度が高かったということですよね。

児玉:そうだと嬉しいです。でも、227の自治体を紹介していくには、そうした嬉しいリピートが遠回りになってしまうというジレンマもありましたが227カフェとのコラボは、ワンストップで特産をメニュー化して発信できる点で、重宝していただけたのだと思います。

岩本:ハミングバードの料理長さんたちのアイデアも素晴らしかったですもんね。「これをこう使うんだ!」と驚きと発見がありました。しかも、どれも本当に美味しかった。

 

再び出会うために

 

岩本:ようやく軌道に乗ってきたところでのクローズなので名残惜しさもありますが、あらためて、227カフェを通じて生まれた価値や、実現できたことは何でしたか?

佐々木定禅寺通エリアや市役所前広場をどう魅力あるものにしていけるかを体現させてくれた場所だったなと思う。227カフェがあったからこそ、「227カフェを定禅寺通でやっているユーメディア」という立場で定禅寺通エリアに関わっていけた。そうなることで、これまで見えなかった課題も含めて見えてきて、人とのつながりもできてきて、もともとやっていたイベント事業との相乗効果もあって、まちづくりをやっていると言えるような会社になれた。そのきっかけになったのがこの場所だね。 


岩本:そうか、これが定禅寺通と関わるきっかけなんですね。

佐々木:そう、これがきっかけ。もともとエリアマネジメントをやりたいなとは思っていたけれど、イベントとは違う常設の店舗があるっていうのは大きなポイントだからね。

児玉:僕は仙台市とお仕事をしていて、東北の自治体の人口減少などの課題にどう向き合っていくか、関係人口をどう増やしていくかという課題を日々感じていて。そんな中で、じゃあ仙台の役割は何かを考えた時に、仙台から各地に人を送客し、関係する人を増やしていくというのが大切だと思うんですよね。その意味で、コンセプトにもある「を作っていくということだったり、ここを拠点に関係を持ってもらったりという、ここ(コンセプトメッセージ)に書かれていることがすごく大事になっているなと感じています。

佐々木:このコンセプトはずっと変わらずに続けていきたい。まだまだ227市町村との道づくりは、これからもやっていきたいと思っているからね。

田向:僕は、価値になったと思うことが2つあって。1つは、今回をきっかけにハミングバードさんと組むことが当たり前になったということ。お互いのことを知りあえて、つながりができたのは大きなことだと感じている。もう1つは、UMとしての価値なんだけど、227カフェをやることで、営業とクリエイティブの連携が変わってきた。これをきっかけに、みんなで同じことを考えて、役割を超えたひとつのチームになれたというのが、他の仕事にも活かされているんじゃないかなと思う。


岩本:そういうチームワークを築けたというのが、私たちの価値にもなりましたね。
   そんな、たくさんの価値をもたらしてくれた227カフェが、今度はキッチンカーになると。

佐々木:「227に続く道」とメッセージしているじゃないですか。今までは拠点があったから、ここから道をつなぐイメージだった。それを今度、拠点が無くなるということをネガティブに捉えるのではなくて、「こっちから行くよ」にすればいいかなと思ったんだよね。そうすると、本当に道をつなぐということができるなと。そうやっていろんなところに行って、もっと227ブランドを知ってもらった上で、機能を拡充した227カフェとして仙台に戻ってこれるようにしたいなと。

児玉:自分たちが227カフェでつないだ道を、今度は自分たちが行くよって言うのがすごく素敵だな!と思いました。

岩本仕事で自治体とつながるのとは違う価値を、このキッチンカーは持ってきてくれそうですね。「食べたいという思いの人と、産地を知らせるとか産地に出会って価値を見つけてくるというキッチンカーとの交流が、このメッセージのシンプルな体現になっていくのかなと感じて楽しみですね。

佐々木:うん、そう。根底にあるコンセプトは変わらないんだよね。変えちゃいけないからね。

岩本:このメッセージをそんなに大事に思っていただいてありがたいです(笑)

児玉:大事ですよ!

佐々木これがあるからブレないんだよね。

田向:やっぱり、貫くって大事だと思うんですよ。だから、新たな拠点ができたときにも、それを貫き通せるかが大事だと思う。

佐々木:ちょっと飛躍するけど、いま東京に宮城県のアンテナショップがあるじゃない、227がそっちに行くっていうことも考えられるよね。今まで仙台・宮城のショップという考え方だったものを、もっと広く東北っていうテーマで展開しに行くというのもアリだよね。

児玉:実際にそのまちに行きたいと思った人に、行けるような施策を組み込んだりもしたいですよね。

佐々木いろいろな機能を高めていきたいね。たとえば、ラジオ局を店内に置いて説明を聞きながら理解を深めてもらい現地を感じてもらう拠点にするとかね。キッチンカーでいろいろインプットしてきてから、再び拠点にしたい

岩本:なるほど。じゃあ、各地の伝え方を模索しに行くということでもあるんですね。

佐々木:そうそう。ここのまちは何をどう伝えるべきかをね。なので「いったん旅に出ます」と。「成長した僕をまた見に来てください」と胸を張って言えるように、東北のネットワークづくりをしに行きます

 

Route 227s' Cafe ブランドページ
https://www.u-media.jp/227_truck/

 

credit

Writer/岩本 理恵
Photo
/阿部 ちはる 
Direction
/阿部 ちはる

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