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U-MEDIA MAGAZINE

わたしたちの、これからの「共創」 ~「企業版ふるさと納税」で地域と企業をつなぐ~

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2016年に内閣府主導により創設された「企業版ふるさと納税」(正式名「地方創生応援税制」)。地方自治体の財政難やマンパワー不足という課題に対し、企業と自治体が連携・共創することで双方がwin-winとなるプロジェクト創出を目指すというものです。当社は、2022年9月より企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォーム『river(リバー)』の東北支社を務めています。『river』に参画してみて感じた企業版ふるさと納税への期待、このプラットフォームづくりの可能性について、主要メンバーでの座談会の様子をご紹介します。


座談会メンバー

・企業版ふるさと納税コンサルタント river認定講師(株)カルティブ 小坪 拓也様
・地域ブランディング事業部 執行役員 佐々木 和之
・地域ブランディング事業部 地方創生戦略担当部長 佐藤 広美
・地域ブランディング事業部 ブランドマネージャー 並木 直子

「企業版ふるさと納税」とは
 地域と企業をつなぐ機会


―本日は企業版ふるさと納税コンサルタントでありriverの事業オーナーである小坪さんもお越しくださいました。小坪さんは当社に『river東北支社』運営をオファーしてくださった方でもあります。まずは、あらためて「企業版ふるさと納税」がどういうものかを教えていただけますでしょうか。

小坪さん:端的に言うと、“企業が自治体に寄付をすると法人税の優遇措置が受けられる”という制度です。(※仕組みの詳細は『river』HP参照(https://cpriver.jp/)この制度ができた背景には、都会の企業の経営リソースが東名阪に集中してしまっているという現状があるので、それを地方に戻したいというねらいがあります。お金の話だけではなく、雇用や人材も都会に集中しているので、それらが地方にも向かい、地域の企業や自治体が活性化することを目指して作られた仕組みです。

-『river』はどのような役割になるのでしょうか。

小坪さん:「企業版ふるさと納税」で自治体と企業をマッチングさせるプラットフォームです。たとえば、支援を受けたい課題を持つ自治体がいる、その一方で、課題を抱えた企業がいる。双方をヒアリングして、企業のリソースが自治体の課題解決に役立ちそうなものがあれば双方をマッチングさせて、企業と自治体がwin-winになるような構造を作ります。企業と自治体両者の思いを達成するためには具体的な「事業」が必要な場合が多いので、その事業を企画したり、プロジェクトを推進したり、あるいはその座組をコーディネートするという役割を『river』が担います。また、全国に8つの支社(北海道、東北、北関東、南関東、中部、近畿・中四国、九州、沖縄)があり、この支社同士が連携してプラットフォームを運営しています。ですので、どうやったらこのプラットフォームに様々な企業や自治体が集まってくるか、そしてより多くマッチングさせられるかを、8社が共に戦略的に考えている組織になります。



-当社はその東北エリア担当として仲間入りしたということですね。ではそのマッチングにあたり、「企業版ふるさと納税」は、企業にとってはどのようなメリットがあるのでしょう。

佐々木:もちろん、“企業が自治体に寄付をすると法人税の優遇措置が受けられる”ことはメリットのひとつですが、それは自治体の地方創生プロジェクトに対しての寄付になるので、「地域の活性化に貢献したい」「会社がもつリソースを地域に役立てたい」という思いを実現できるというのが大きなメリットだと思います。私たちはこれまでも仙台市に本社のある企業として地域を盛り上げたいと向き合ってきましたし、当社と同じような思いを持つ地元企業もたくさんあります。そのような企業が、それぞれのリソースを活用して地域の活性化に密接につながれるというこの制度は、知らないともったいないと感じましたし、もっと広めるべきだと思いました。企業のブランディングにもつながっていくものですしね。東北内でのマッチングに関わらず、全国の企業と東北がこの制度を通じてつながるような流れも作っていきたいですね。

地域ブランディング事業部 執行役員 佐々木 和之

-では、自治体へはどのようなメリットがあるのでしょうか。

佐藤:自治体にとっては、“地域の課題を民間企業と一緒に解決できる”というのがメリットですね。自治体だけではどうにもできなかった課題に対して、解決につながる力や答えを民間企業が持っていたら、その「出会い」を作ることがこの制度の目的であり、私たちの役目だと思っています。

地域ブランディング事業部 地方創生戦略担当部長 佐藤 広美

佐々木:地域で何か事業を行うときに、これまでは国や各自治体の予算で賄ってきましたよね。そこに「企業版ふるさと納税」を加えて、予算を組むことも可能になる。そうすると、課題の解決に向かって大きな推進力になる。それが地域側のメリットだと思いますね。また、お金の寄付だけでなく“人材というリソースを提供する”という事例もあります。企業の人材が自治体に出向するような形で、プロジェクトを遂行するために必要なスキルを補う。自治体にとっては人材不足の解消にもつながりますし、企業側にとっては人材を通じて自治体との関係構築もできる。その人材にとっても新たな活躍の機会につながる。このように、寄付や支援の仕方もさまざまあるんですよね。

並木:お二人がおっしゃっていることに加えて、地域には“ 自分たちの地域の魅力に気付ける”というメリットもあると思います。このプラットフォームを運営することで、私たちは他地域の事例をたくさん知ることができます。全国にはさまざまなヒントがあって、それを『river』支社間のつながりでスピーディーに共有してもらえるので、企業側にも、地域側にも各地の事例をお伝えできます。そうやって様々な地域の事例を知ることが、地域にとっては新たな気づきにつながりますし、その機会を得ることが地域への大きな財産になると感じています。

地域ブランディング事業部 ブランドマネージャー 並木 直子

佐々木:『river』の各支社に相談すれば、どこかが必ず解決策を見つけてくれるんですよ。東北支社は最後に立ち上がったので、すでに実行されている全国の先行事例をたくさん知ることができます。その成功例を東北に還元していけるというのがとても心強いですね。

小坪さん:支社やパートナー企業は、業界もバラバラなんです。システム開発、広告代理店、印刷、地銀、地域メディアなど。だから逆に、お互いの価値交換が成り立ちやすくお互いの情報交換がしやすくて、コミュニケーションを取りやすいのかもしれないですね。

ユーメディアが取り組む意義
地域と企業の“隣”に座りともに考える


-我々にとっても、地域や企業にとっても、いろいろな角度からの気づきがある取組みですね。あらためて、ユーメディアにとっての価値をどう感じていますでしょうか。

佐々木:当社はこれまでも東北の自治体と仕事をしてきましたし、地域を主体性を持って活性化することをミッションにしてきました。ですが、正直言って、これまでのやり方には課題を感じていました。自治体や国の予算が年々減っていく中で、1社だけで事業に向きあうことに難しさを感じ東北の様々なステークホルダーと関係を深めてきましたが、それでも限界を感じることがありました。そんなときに『river』との縁があって、全国規模で、全国の事例を聞かせてもらいながら、プラットフォームというシステムに載せて地域と向き合える方法を知ることができた。当社のやり方自体を改革できる予感がしています。それと、我々はどちらかというと“共有が下手な会社”だったと自覚していますが、『river』のプラットフォームを運営することで、情報がどんどん溜まっていき共有されやすくなりました。

小坪さん:情報はオープンにしないと価値がないですからね。



-小坪さんが当社に『river』東北支社のオファーをくださったのは、どういう経緯があったのでしょうか。

小坪さん:佐藤さんと一緒にとある自治体を訪れる機会があって、その時、佐藤さんの自治体とのコミュニケーションの取り方を見てとても共感したんです。一般的には、自治体と企業が打合せをするとき、机を挟んで向かい合わせに座り提案をすると思うのですが、佐藤さんは“隣に座る”ような感じなんですよね。自治体の隣に居て、アドバイスをするポジションを担っているんです。自治体側の視点で、自治体にとって良いか・悪いかの判断をしているし、そういうポジションとして自治体からも認識されている。心理的安全性の高い状態でコミュニケーションを取れていると感じ、むしろ学ばなければいけないところがあるなと思いました。こういった人がいる会社なら、東北支社をお願いしたいなと。

企業版ふるさと納税コンサルタント river認定講師 (株)カルティブ 小坪 拓也様

佐藤:それは、私に限らずユーメディア全体がそういう空気感ですし、地域ブランディング事業部が立ち上がったときにも、お客様とそういう関係性をつくることを目標にしていましたからね。私は、『river』東北支社を始めたことによって、お客様の伴走者となって一緒に課題に向き合いやすくなりました。地域の課題解決が叶いやすくなると感じています。

小坪さん:やりやすくなりましたか、良かった。

佐藤:なりましたよ。たとえば、私が自治体側の立場だとしたとき、寄付を募りたいような“困りごと”がまずあって、本当はその困りごとを解決しなさいと市長や町長から言われているわけです。寄付を集めることが目的ではなくて、問題解決をするためにどうすればいいかを考えなければならない状態です。そこで「こんな内容のこんな寄付を集めたい」と言える自治体は、おそらく私たちの力は要らないんだと思います。糸口が見いだせない地域に対して、“この困りごとをどうやったら解決できるのか”というところから私たちが関わることができる。それが画期的だなと思ったんです。

佐々木:そうですね。寄付ありきではなくて、地域の課題をどのようなサービスや予算を用いれば解決できるかというところから話し合いができる。そういうプロジェクトの構築から関わり、どういう企業とマッチングできるかを一緒に考えられるというのが、この仕事の醍醐味だと思います。

-私たちは、自治体の「課題」と、企業側の「社会貢献したい」という思いのどちらにも触れているから、マッチングできるということなんですね。

佐々木:そうですね。当社は地域ブランディング事業部のほかにCS事業部という法人営業が対象の部門がある。だから、CS事業部から企業に「企業版ふるさと納税」の提案を行うこともできるので、地域貢献につながるマッチングを起こしやすいと思っています。

-そうですね、企業側ともこれまでより高い視座で話ができると感じます。

佐藤:先ほど小坪さんに言っていただいたことがすごく腑に落ちました。確かに、“隣に座る”感覚です。

並木:地域の隣にもそうだし、企業の隣にも、ですね。

今後の展望
地域のためになる“地域づくり”を


-最後に、『river』東北支社として、今後の展望をお聞かせください。

佐々木:『river』への参画をきっかけに、これまでの営業手法を変えていきたいですね。“案件を取りに行く”というやり方を続けていると、競合に勝っていかなければというエネルギーが必要になります。そうするよりも、営業手法をシフトチェンジして、弊社がもともと理念に掲げている「事業を通じて地域に貢献する・地域を活性化する」ということに向き合っていきたい。その可能性を感じるのが、この『river』というプラットフォームだと思っています。

並木:ユーメディアがこれまで積み重ねてきた“地域の声を聞く”という、事業を作る上で欠かせない部分はこれからも大切にしていきたいです。その上で、『river』というプラットフォームで国の地方創生の情報などをいち早く知ることもできるので、そういった部分をうまくつなげていけるといいのかなと。大切にすべきは、行政の先にある住民の皆さんなので、皆さんの顔が浮かぶような仕事を作っていけたらと思います。



佐藤:私は、これを機会に本当の意味での地域づくりというのをやっていきたいですね。地域と共に、そして、企業と地域と共に、ちゃんと地域のためになる地域づくりをプロデュースしていきたい。「佐藤さんにプロデュースしてもらってこんな施設ができたよ、こんな賑わいがうまれたよ」と言われるような存在になりたいなと。小坪さんにそのチャンスをいただいたので、がんばっていきたいですね。

小坪さん:ありがとうございます。みなさんの熱い思いを聞いて、あらためて、ユーメディアの皆さんの考えが『river』の考えと合っていたんだなと感じました。ひとつ、要望なのですが、ユーメディアには「東北」をお願いしており、できると思っています。1社で東北すべてを元気にするのはやはり難しいと思いますので、ユーメディアをハブとして各地のいろいろな企業を仲間として巻き込みながら、活動の幅を広げて、地域への貢献力を一緒に高めていけたらと思っています。これからもよろしくお願いします。


広報担当後記

「企業版ふるさと納税」の仕組みを完ぺきに理解するというよりもまずは、やることの意義を理解することができました。この動きに当社が関わることを知った当初は、お金の動きだけを全面に捉えていたところもあり、正直いいイメージだけを持つことは難しかったです。お話を聞いて、地域における財源確保という意味では、それは間違いではなくて、むしろ必要で、ただそれだけが目的ではなく、地域と企業と、“ちいきのミライ”を一緒に考えていく共創を後押しするツールであるということが今回の記事を通して明確にわかったことで、逆に当社の地域を元気にしたいという想いがより説得力をもつ言葉になったと感じました。これまでも地域と企業と歩んできた当社が、river東北支社というプラットフォームを運営させていただくことにより、共にできることの可能性がより広がっていくことになるのだと思います。これからも、地域と企業のみなさまと真摯に向き合い、“隣”で共にミライを描いていくことができるよう、新たな価値創造へ挑戦してまいります。


関連リンク(外部リンク)

○企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォーム「river(リバー)」
 https://cpriver.jp/
○企業版ふるさと納税チャンネル
 企業版ふるさと納税の東北での事例紹介【river対談#02】
 https://youtu.be/O_oJvsBMhb4

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○開催案内】THE 地方創生 WEEK~企業版ふるさと納税で地方を応援!~
 https://www.u-media.jp/media/topics/a232


クレジット

Interviewer&Writer/岩本 理恵
Photo/杉山 愛
Direction&Design/田向 健一
広報担当後記/コーポレートデザイン部 人材・組織開発チーム 阿部 ちはる
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