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U-MEDIA MAGAZINE

【vol.09】ともに挑戦する定禅寺通エリアの活性化

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―仙台協立様と弊社ユーメディアが会員となっている「定禅寺通活性化検討会」。

いよいよ2021年8月20日から9月7日まで「定禅寺通活性化検討会 大規模社会実験」が開催されます。ワーキンググループである「定禅寺ストリートアライアンス」で定禅寺通エリアの活性化のために尽力されている氏家社長が代表を務める株式会社仙台協立様の企業としての理念をお聞かせください。



氏家社長/地域から離れることのないのが不動産会社ですので、「エリアの価値を上げていくことで、敷地の価値を高めていく」というような考えで動いています。エリアの価値を上げていかないと、自分が持っている建物の価値も上がらないので、そこが両輪のようになることを心がけていますね。

もともとは自分の案件だけで事業ができれば良かったのですが、なかなかそれだけではいかなくなってきました。

今野/ユーメディアも共通するところがあります。

印刷やプロモーション用のツールも、企業に元気がないと使ってもらうことはできず、それは、地域が活性化していないと仕事にならないことにつながります。誰かが活性化してくれるのを待つのではなく、自分たちに何ができるのかを常に考えています。

もともと弊社は印刷業からスタートしましたから、まさに地場産業と言えます。現在は事業の幅も広げ、仙台・宮城・東北と視野も広げて、そのハブになるようにいろいろな動きをとっています。

氏家社長/現在は、当社の所有するビルの近くに絞って動いていますが、はじめて街づくりをやっていかなきゃいけないと思ったときがありました。当社が所有するビルの入居が悪くなった時に、新しい入居者層に変えていった時期がありました。個人オーナーさんに変えていったんです。

新しいビルの時は大きな会社が入っていたのですが、個人オーナーさんが入居するようになってきたら、周りにも店が増えてきて、いい街の循環ができました。個人事業者が街にでていくようになったときに、大きな視点での街づくりのイメージが持てたんです。これがいい街の形なんだろうなと。

そこから、自分の物件の価値を上げていけば周りにも波及していくという手前勝手な発想から変換し、最近はいろんな街づくりに参加するようになりました。

「敷地に価値なし、エリアに価値あり」と言う方の話を聞いて、地域の価値を上げていかないと単点でがんばってもたかが知れていると感じ、そこから段々と自分の所有エリアは少なくともしっかりと街づくりをやっていこうと思ったんです。なかなか全域という範囲で関わることは難しいんですけどね。




今野
/我々もエリアごとの特徴を整理して、地域の活性化のお手伝いをしています。

仙台・宮城・東北という大きなエリアの市町村単位で、その地域をどのように盛り上げていくかべきか。それを「地域ブランディング」という表現で事業化をしています。

その土地のいいものや、面白い活動をしている人や資源などのコンテンツを利活用しながら、なにが地域の課題なのか、それに対してどのようにアクションすれば解決できるのか、地域の方と一緒になって考え、ことづくり・ものづくり的な業務をさせていただいています。単発で終わることなく、ひとつの仕事が次の地域活性化の施策につながっていくような「地域ブランディング事業」に取り組んでいます。

氏家社長がおっしゃるとおり、仙台市に関しては、行政が発信し取り組んでいる大きな都市ビジョンは当然に受け止めながら、同時に私たち民間の強みを最大限に生かしていくには、仙台市という大きなくくりでなく、「エリア」視点が大切だと思います。このエリアはどんな特徴を持ち、どうなっていくべきなんだろうと考える「エリアマネジメント」を仙台協立様は力を注いでいきたいと考えていらっしゃるんですね。

氏家社長/ただ、やはり定禅寺通エリアだけでは厳しいんですよね。いい景色はあるんですが、その景色を活かした建物づくりになっていない。この日本一のケヤキ並木を眺める場所が無かったりするのが現実。この定禅寺の通りを使って、なにかしら定禅寺通エリアをマネジメントしていこうとしても、非常にコンテンツが限れている状況です。ぜひ、検討会メンバー同士、一緒にチャレンジしていきたいですね。

今野/企業としての理念や思いを社員の皆さんにどのように伝えているんですか?

氏家社長/もともとは自社の所有物件の資産価値向上だけが目標でしたが、地域の価値向上に目を向け始めたら、スタッフが増えてきました。思いに共感してくれたということですが、方向性は全然変わりましたね。もともとお金儲けのためだったけど、段々もうその話も社員にできなくなってきて(笑)。

今野/収益も上げていかないと企業は存続できないですし、地域を盛り上げられないですよね。

氏家社長/自分たちが稼いで幸せになろうでなく、今は、それだけじゃないものを求めて入ってくるメンバーもいるので、両立しています。地域の価値向上と自社の価値の向上を両立するような働き方になっていかなければなりません。そのあたりのバランスが難しいんですけど、おもしろいですよ。自分だけのためだけだと、限界が出てきますしね。

今野/そうそう。そうなんですよね。

収益性の追求は必要だけど、それだけだと響かなくなっているんですよね。この町、このエリア、この地域のためだとがんばれちゃうんですよね。

氏家社長/営業チームの社員は、「営業活動が街づくりである」と考えているので、変わったことはしているわけではなく、当たり前のことをしています。

街の賑わいは、交流人口・定住人口を増やすことが肝。それをやるのはまさに不動産の仲介セクション。その町にあった人、建物にあった人を、まさに仲介する。それをしっかりやることが街づくりにつながり、特別なことをする必要はないと伝えています。

管理している社員には、うちの物件だけでなく、周辺もキレイにしていけば、結局その連続が街づくりにつながっていくんですよね。自社でしっかり管理していくこと自体が、街の景色を作る一部になっていきますから、そこを意識してやっていこうと伝えています。

大きな理念というより、仕事そのものを一生懸命やっていくことが、街づくりにはとても大切です。


株式会社仙台協立所有不動産 定禅寺通沿いの定禅寺ヒルズ屋上のレンタルスペース「ROOF GARDEN」屋上からは、定禅寺通が一望でき、その価値との一体化を実現したスペースとなっている。

今野/ユーメディアも同じだなと思いながらお聞きしました。

例えば印刷物の制作をしているとして、そのツールを通して、お客様が何らかのアクションをして、何かを成し遂げようとされているわけですよ。それは人々の暮らしを豊かにすることにつながるものなんだから、目の前の印刷の仕事は、それ自体が地域活性化につながっていると話しています。 

氏家社長/その思いを持っていると仕事も楽しくなりますよね。



氏家社長
/定禅寺通エリアの東側に位置するのワーキンググループ「定禅寺ストリートアライアンス」の目的ですが、公共空間をうまく活用して、賑わいを作るだけでなく、あわせて賑わいを作るための仕組みを維持する費用をいかに捻出するかという、よりビジネス的な社会実験を考えています。「循環型のまちづくりビジネス」が可能かどうかの実験をしていきます。

株式会社仙台協立氏家社長が代表をつとめる、定禅寺通ストリートアライアンスは定禅寺通活性化検討会のプロジェクト型ワーキンググループのひとつで、 定禅寺通を対象に様々な社会実験を行っている。 2019年に実施した社会実験「定禅寺通ストリートパーク」では、その取組がグッドデザイン賞を受賞した。

氏家社長/コロナ禍でそこを前面に出すのはなかなか難しく、そこまで至っていないところもあるんですが、最終的にはエリアマネジメント会社を作って、この定禅寺通エリアの街づくりの形式を進めていくことになると思います。その基盤となる収益を街そのもので稼げるかを実験するイメージですね。

今野/なるほど。循環型で、これだけのスペースを使うとマネタイズができて、次に回していくと、ここまで発展して、影響力を増すことができるかということを実験していくんですね。

氏家社長/協賛や補助金を使っての自立型じゃないイベントはありますが、御社のようにイベントとして完結型ができる街づくりはあるようで実はあまりないですよね。

街づくりは何十年もやっていかないといけないもの。それを周りの施しでやっていくのではなく、街が持つパワーから生まれる収益を利用してやっていくことで自立型になっていくんじゃないかと考えていて、街の資源をうまく使えるのかをしっかり実験すべきですね。

今回の大規模社会実験で進んでいるのが、あらかじめ道路を拡張するのに、なんらかの収益活動に使えるように水道・排水設備・電気などのインフラを入れてもらおうと考えています。後から持ってくるんではなく、そういうものを作っていくことによって、広がった公共空間を民間が活用していって、街の維持管理も含めた費用を捻出していくということ。公園でやっているようなものの道路版ですね。

2021年8月20日より実施される、定禅寺通活性化検討会 大規模社会実験「JOZENJI STREET STREAM」

今野/将来的な道路空間を再構成していくのには、いろんな意見もありますよね。

ワーキンググループの「定禅寺ストリートアライアンス」が公共空間をどのように活用し、その検証結果も興味深いですし、共有していていだきたいです。

ユーメディアは「エリアブランディング」というプロジェクトの実行を大規模社会実験で担っているわけですから、沿道空間をつかって、広告としてどうなんだろうか、こうすると新たなコンテンツが生まれるんではなかろうか、そういったことを長い距離で担当させていただき、挑戦し続けることが「エリアブランディング」につながるんではないかと思っています。

氏家社長/賑わいをつくって、みていただいて、広告価値のある場所にしていかなければならない。

それはイベントや公共空間の整備だけでなく、地域のオーナーたちの建て替えや店舗の変化がないと価値は生まれていきません。実験を活かしていきながら、投資の動きが促されるように、それにより日本一のケヤキ並木のブランド価値を上げていく。そのブランド価値を上あげていくのは、大きな民間投資。その起爆剤になったらいいなと思って動いています。

今野/今回の社会実験で仙台市民、お住いの直接関係している方が、エリア価値が高まっていくことを感じることができるかが大切ですね。

氏家社長/今回は、仕組みのための実証実験ですので、そこまではいかないかもしれませんが、車道も規制して歩行スペースを拡張したりなど、雰囲気は出てくると思うので、そういったイメージをもっていただければ一番いいなと思ってます。

そこから先の未来をこの社会実験を通して、うまく伝えられるかかがポイントなんでしょうね。

今野/エリアマネジメントの根底にあるのが、直接関係している地域の方と交流しているいわゆる市民ですね。自分たちがこの地に足を運んでくるからこそ、こういう新しい価値が生まれるんだなと、自分たちが来ないとこのエリアが面白くなくなるということがわかっていただけると、この定禅寺通エリアに来てもらえるんですよね。

氏家社長/おっしゃる通りだと思います。

今野/そのためにユーメディアが培ってきたプロモーションの手法を使いながら、それが打ち上げ花火でなく持続的にマネタイズしていき、エリアマネジメントの会社として、最終的な実行部隊を構成できればばおもしろいと思うんですよね。

氏家社長/そうですね。定禅寺通そのものの価値を上げて考えていく必要がであって、道路空間の価値やケヤキ並木だけの話でなく、将来的な投資を呼び込むという、そのための起爆剤を何にするのかをもっと話していかなければならないと考えています。投資をしている以上、市民の代表としてやっていく必要性を伝えていかなければならないとも思います。

今野/今回、大きな社会実験になるんじゃないかなと、準備段階ですが手ごたえを感じているので、その結果をどうとらまえて検証し、次につなげるか、そのサイクルを作り上げていかないといけないですね。

―官民の連携でやっていくべき「定禅寺通エリア活性化」という大きな事業。この記事を読んでいる読者へのメッセージをお願いします。 


今野
/民間主導でのアクションってすごく大事だと思うんです。この地に住み、事業活動を行っている私たち自身が、地域をどうしていくか どういう価値を生み出していくのか、自ら考えていくべきですね。

そこに行政として運営も必要なわけですから、仙台市が発信している大きなビジョンと符合させながら、民間が動かしていくことが、大事な観点と常に思っています。

氏家社長/都市の賑わいをつくるために、あるべきものはあった方がいい。

沿道のオーナーや地権者の協力を得て、街をよくする投資が起爆剤になるが一番ベストだと思うので、道路拡張とかだけでなく、エリアビジョンとしてはもっと大きく描くべき。今は、可能な限りになってしまっているので。

街って役所が作るものでなく、民間の人たちが作っていかなくちゃいけないと思います。仙台市の全域を見たときの市の所有物は民間の所有物の方が多いわけですから。

自分たちの町への投資を行う。投資をするならインフラなどに関わっていかないといけない。そういった投資をすることが本当のマネタイズ。それが本業に帰ってくると思って私たちはやっています。循環型のビジネスとして考えるべきですね。

また、同じように市民の方は、街が衰退しないように声を上げていただきたい。

自分たちにとって住みやすい街、長く過ごせていいなと思う街を作る動きをしていかなくてはなりません。是非、今こそもっと街づくりに関心を持つ方が増えることを期待しています。

今野/定禅寺エリアの価値を高めるために、今回の大規模社会実験の結果検証を含め、これからも氏家社長と連携を深めながら取り組んでいければと思います。本日はありがとうございました。

 

[開催日時] 2021年8月20日(金)~9月7日(火)
平日11:00~21:00、土・日・祝11:00~21:00(予定)
※雨天時も開催(台風等の荒天の場合、中止する場合があります)

「JOZENJI STREET STREAM 定禅寺通活性化検討会 大規模社会実験」とは、人と文化(食・音楽・アート・ファッション)の流れ(ストリーム)を定禅寺通(ストリート)から生み出すイベント。

イベント期間中には、定禅寺通がLIFESTYLEエリアとFOODエリアの大きく二つに分かれ、「古着の街 仙台」を体感できるストリートマーケットや、おなじみの仙台オクトーバーフェストなど、仙台の魅力的な文化を五感で体験できるコンテンツが並びます。

みなさんもぜひ足を運んで、訪れる人・住む人・働く人・商う人、みんなが心地よく過ごすことができる定禅寺通エリアを作り出すために、イベントを体感し、仙台の未来を一緒に考えていきましょう!

>>JOZENJI STREET STREAM 定禅寺通活性化検討会 大規模社会実験 公式サイト


【8月27日(金)更新】

※令和3年8月27日より、宮城県が新型コロナウイルス等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言区域に指定されることを受けて、出店コンテンツ等を中止とさせていただきます。 詳しくは、定禅寺通活性化検討会公式ウェブサイト「JOZENJI STREET STREAM」をご確認ください。

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