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ゴールは“地域活性化”。 まちを元気にする、私たちの「海外プロモーション」

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ユーメディアは数年前から、宮城県内の各自治体や民間企業とともに、海外プロモーション事業をスタートさせてきた。試行錯誤を繰り返しながらも、最近では少しずつ、それらの取組みが「成果」として実を結び始めている。今後ますます加速していくインバウンド・アウトバウンドビジネスの中で、ユーメディアの「海外プロモーション」が、地域にどのような効果をもたらし、今後どう発展していくのか、担当者たちに話を聞いた。


【取材対象者】

メディア事業部
・メディア開発チーム 課長代理 佐藤 広美
・メディア開発チーム 副長 丹野 章

メディアプロモーション部
・クリエイティブチーム 課長代理 田向 健一
・クリエイティブチーム 主任 岩本 理恵
・クリエイティブチーム 阿部 奈穂

ユーメディアが取り組んできた海外プロモーション事業

『白石川堤一目千本桜ブランド化事業』

宮城県柴田町から大河原町を流れる白石川堤に、全長約8km、1,200本にわたって続く桜並木。この希少な観光資源のブランド価値を高め、国内外の観光需要を促進することを目的に、2016年から、観光戦略策定からプロモーションにいたるまでをトータルプロデュース。2017・2018年には、柴田町・大河原町とともに、観光PRイベント「日本東北遊楽日2017 だいすき♡♥とうほく」(2017年・台湾)、「Visit Japan FIT Fair 2018(第12回FITフェア)」(2018年・タイ)に出展。

 『みやぎ蔵王三源郷交通アクセス向上検証事業 シャトルバス・レンタサイクル広報宣伝業務』

宮城県南地域で鉄道が通っていない三町(蔵王町、村田町、川崎町)が連携し、この地域を訪れる外国人観光客の交通アクセス向上に向けた、仙台空港からのシャトルバス設置、および三町全域で利用可能なレンタサイクルの整備に取り組んだ。

 『遠刈田こけし販路拡大事業』

宮城県蔵王町の伝統工芸品「遠刈田こけし」の魅力を国内外に広め、販路拡大に取り組む事業。海外に向けたプロモーションを見据えながら、まずは県内における「遠刈田こけし」の認知拡大を目的に設定。季節ごとにビジュアルを変えて制作したポスターは、仙台広告協会主催の第49回仙台広告賞で「銀賞」を受賞した。

 

『“SANRIKU(三陸)”ブランド海外販路拡大事業』

青森県・岩手県・宮城県の三県にまたがる三陸地域の統一ブランド“SANRIKU”のロゴを冠した水産物や水産加工品の海外市場開拓・販促活動を展開。海外の展示会や見本市に出展しながら販路拡大を目指すアウトバウンド事業。


販促ツールを活用した海外でのプロモーション

町長が提唱し地域みんなで育てたインバウンドの「受け入れ体制」

 佐藤/柴田町とはこれまで、国内向け観光開発のお仕事をご一緒させていただいていました。そんな中、柴田町の町長が“インバウンドの可能性は、地方にこそある”という考えから、「ローカルインバウンド」という言葉を作って提唱したんです。“一目千本桜のような日本らしい自然の風景や暮らしこそが、海外の人たちに愛されるものになる”と考えたんですね。そこから実際に、「インバウンドでまちを元気にするぞ!」と、柴田町と大河原町が連携して海外プロモーションがスタートしました。


残雪の蔵王山と一目千本桜

岩本/町長自ら、そういう言葉で表現し発信するって素晴らしいですよね。

佐藤/最初は消費動向調査から始めて、その後にクリエイティブ面のブランディングの取組みも行って。そうやってインバウンド施策を本格的に始めてから3年が経ったけど、今年は特に、一目千本桜を訪れる外国人の数がすごかった。2018年にタイで「FITフェア」に出展した際に知り合ったタイの旅行会社が、今年、ツアーを組んでお花見に来てくださって。そういう成果も出ているんですよ。


タイ「FITフェア」出展の様子

阿部/観光バスの多さや外国人観光客の多さに驚きました。アジアの方もいれば、ヨーロッパから来ている方もいましたね。

佐藤/それ以外にも、この事業で達成している点として大きいのは、外国人観光客を受け入れるための地元のボランティア育成と組織作りにつながっていることだよね。私たちは地元住民の方を対象に観光ボランティア講座やセミナーのお手伝いを行い、今年は講座の参加者全員が日替わりで案内所に立ってくださった。他にも、地域の自発的な取組みの一つとして、町の小・中学校で、英語で観光案内を教える授業が行われていて。大人から子どもまで地域みんなで受け入れ体制を作るのは、インバウンドを進める上で、とても重要なことだよね。


タイのYouTuberによる一目千本桜の紹介

田向/地元の方たちには元々、町に来てくれた観光客に喜んでもらいたいというおもてなしの精神があるから、そういう温かいウェルカムな雰囲気をベースにしつつ、観光客の方に現地のものを食べてもらったり、滞在時間を増やしたりするための仕掛けを、これからもっと作っていきたいですね。

 

三町連携によって生まれる「地域」の新たな可能性

丹野/昨年度実施した「みやぎ蔵王三源郷事業」では、在仙の外国人の方々に実際にシャトルバスやレンタルサイクルを利用してもらうモニター調査をやりました。その結果、「レンタルサイクルによって行動範囲が広がって、メジャーではない観光地を発見できた」という声をたくさんいただいたけど、さまざまな課題も浮き彫りになった。これはインバウンドを考える上でとても意義のあることだったと思うんですよね。

田向/そうですね。課題抽出とともに大切なのは、ターゲットの設定かなと。つまり「インバウンド」「海外」といっても、国によって文化も違うし、感動するポイントも違うので、東北の魅力に関心を持ちそうなのはどんな国の人か、調査をして掴む必要がある。だから、僕たちがイベントに出展する目的も、外国人と直に接点を持つことで「この人たちはこういうことを考えているんだ」「こういうことに感動するんだ」っていう情報を肌で知るためなんですよね。だから、イベントも調査の一環だと思ってる。


川崎町でのモニター調査

丹野/今回の事業は台湾の方々がターゲットだったので、僕も実際に現地へ行ってきましたけど、やっぱり、その国の日常や人柄、広告物の特徴など、訪れてみないと分からないことがたくさんあって。とても刺激を受けましたね。

岩本/一目千本桜の事業で台湾の「東北旅行博」に参加した時は、現地の方が小さな魅力にも関心を示してくれることを感じて。他のブースでも各県がニッチな魅力を売り出していて「日本のどこでも観光地になり得る!」と思いましたね。日本に留まっているとつい見過ごしてしまう魅力を、外国人が見つけてくれるというか。だからたとえば、一町だけでは観光地として売り出すことが難しい町でも、みやぎ蔵王三源郷のようにいくつかの地域が連携することによって、それぞれの町の魅力を際立たせることもできる。日本を訪れる外国人は、町の区切りなんて気にせずに旅をするので、一つひとつの市町村にチャンスがいっぱいあると感じました。

阿部/私も、仙台空港でみやぎ蔵王三源郷事業のPRイベントをしたとき、三町が並んで町の特産や観光をPRしているのを見て「お得感がすごい!」と感じて。広域エリアでのプロモーションは “あっちもこっちも見てみたい”という好奇心を持った方や、アクティブな方を惹きつける魅力があると思います。

 


仙台空港でのPRイベント

佐藤/ユーメディアはこれまで、いろんな自治体の方々とお付き合いしてきた長い歴史があるので、そういった地域連携をコーディネートできる点が強みですよね。

 

地域の受け入れ環境を整え「ここに来てもらうこと」を考える


丹野
/遠刈田こけし販路拡大事業の話をすると、私たちは企画提案の際、外に販路を拡大する前に、まずはこれまでと違う新しい視点で「遠刈田こけし」の魅力を発信できたらと考えましたよね。

田向/鳴子こけしは有名だけど、それに比べると遠刈田こけしは宮城の中での認知度が低めで、そもそも蔵王町が「こけしの町」として認識されていないという課題があったんですよね。

岩本/そういった課題を解決するために、町の中で遠刈田こけしを目にする機会をたくさん作りたいという狙いで、ポスターや顔出しパネルを作ったり、町の至る所に設置する看板に遠刈田こけしの写真を添えたり、「遠刈田こけしカフェ」というイベントを開いたり、いろんな取組みを行いました。そうやって少しずつ、旅行者の行動と遠刈田こけしをマッチさせていったことによって、認知してもらうきっかけ作りができたんじゃないかな。

丹野/さらにこの事業では、「仙台広告賞」のポスター部門で銀賞を受賞することができた。今年度も同じ事業に取組んでいく中で、町の皆さんの気持ちをさらに盛り上げることができたかなと。

田向/まずは地域の中での受け入れ環境を整えてこそ、外国人をおもてなしできる。そこを重視した僕たちの考え方を評価していただいて、うれしいですよね。

岩本/海外プロモーションを考えるときに「まずは町の受け入れ環境を見直そう」という視点に至るのがユーメディアですよね。最初から外を見るのではなく、まず中のこと、「ここに来てもらうこと」を考えるのが、地域密着型企業である私たちの特徴なのかなと思います。


こけし工人のトークや絵付け体験を行った「遠刈田こけしカフェ」

 

相手を知ることから始まる海外プロモーション

佐藤/民間企業も今後、必ず海外をマーケットにしていくようになるんじゃないかな。日本の食文化や伝統工芸は、海外の富裕層に求められるものになってきています。

阿部/一緒に“SANRIKU”ブランドの海外プロモーションを進めている三陸コーポレーション様からは、販路拡大のターゲットとしている東南アジアの方にとって、日本の魚や水産加工品は高級食材で、富裕層の人たちが食べるものだと聞きました。特別な日に食べることが多いそうなので、そういった背景を留意しながらPRツール作りをしました。


SANRIKUブランドブック

田向/やっぱり海外プロモーションで一番大切なのは「現地を知ること」、そして、それに合わせた「ローカライズ」なんですよね。

佐藤/本当にそうだよね。“ローカルをどれだけ知っているか”が、海外プロモーションをする上で、最大の強みになるんだと思う。

海外プロモーションは「地域活性化」のひとつの“手段”

佐藤/海外プロモーションを通して達成しなければいけないのは、「地域の活性化」です。そこに辿り着くまでには、実態調査をして、受入れ環境を整備して、外国の方にたくさん来てもらうための施策を行い、現地でお金を使ってもらう仕掛けを作って…と、いろいろな段階がありますが、やっぱり最後は、いかに地域経済活性化の役に立てるかがユーメディアの使命だと思います。地元に本社を置き、モノづくりからスタートしている会社として “最終的なカタチ”を共有し、お客様から信頼してもらえる仕事をしていきたいです。

海外からの観光客でにぎわう柴田町「さくらの里」にて観光課職員と。

 

関連リンク

宮城県柴田町
宮城県大河原町
宮城県蔵王町
宮城県村田町
宮城県川崎町
SANRIKU-JAPAN(日本語)
SANRIKU-JAPAN(English)
※順不同

Credit

Director / メディアプロモーション部 クリエイティブチーム 主任 岩本 理恵
writer / メディアプロモーション部 machicoチーム 澤田 朱里

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