「地域で人を育てる」インターンシップと企業の枠を越えた学び合い ―地域をフィールドとした誇りの醸成―
当社と株式会社SKホールディングス様が運営事務局となり、仙台を中心に地域活性化に取り組む企業10社が協力して開催したインターンシップ「JIMOTOコラボインターン2022」。2019年より開催しており、2022年度は4回目の開催となりました。
参画企業は業種や業態も異なりますが、共通する想いを持っています。それは、「地域で人を育てる」こと。
学都仙台と言われながらも、就職時の首都圏流出率の高さが叫ばれています。それを嘆いて終わるのではなく、地元企業である私たちが連携し発信力を高めながら「地域で人を育てる」ことで、地元の学生が地元で誇りと大きな可能性を持って活躍できる、そんな宮城をつくりたいと志し、挑戦を続けています。
2022年度を終えた今、その想いが少しずつカタチとなり、着実に歩みを進めることができていると実感しています。2023年度は、企業の枠を超えた連携を深め、より力強く前に進むために、新たな挑戦をスタートさせます。
2022年度運営事務局の企業担当者4名が、成果を振り返りながら「地域で人を育てる」ことの可能性を対話により考えていきます。
取材対象者
株式会社SKホールディングス
人事広報部 参与兼部長 小幡秀樹様
人事広報部 主務兼グループ長 土田まなみ様
株式会社ユーメディア
コーポレートデザイン部 取締役 今野彩子
人材・組織開発チーム 主任 永島史也
「地域で人を育てる」を、ひとつカタチにできたインターン
永島 みなさん、改めて2022年度のJIMOTOコラボインターンお疲れ様でした。
全員 お疲れ様でした~!
永島 2022年度はテーマと課題を大きく見直しましたね。
土田さん これまでは、担当になった企業の魅力を学生目線で発見し、企業PR動画の企画・制作・発表をするという内容で、企業の魅力を学生に知ってもらうことに紐づいた課題設定でした。2022年度の課題は、担当企業の事業や強みを活かして、地域のミライをより良くするアイディアを構想しプレゼンテーションするという内容で、根幹の「地域で人を育てる」という姿に、より近づくことができたと思います。
JIMOTOコラボインターン2022チラシ。33名の学生に参加いただきました。
永島 アイディア構想、難しかったですよね・・・!
土田さん 難しかったですね~!学生だけじゃなく、企業側も悩みましたね。正直、この課題に学生の心も折れてしまわないかと心配でしたが、学生自身が自分の納得するところまでやりたい!という熱量に圧倒されました。終了後にも、インターンに参加してよかったと全員が手を挙げてくれて、すごくうれしかったです。
小幡さん 目指すところが高くなったのがよかったですよね。より学生のチャレンジ感も増して、もともとあった「地元にこそ挑戦できるフィールドがある」と伝えたいという想いに近づき、単に難しくなったというよりは、理想に近づいている感覚がありました。
永島 JIMOTOコラボインターンを通して成長を感じたか、後輩にも勧めたいか、という質問にも、100%の方がそう思うと答えてくれましたね。
JIMOTOコラボインターン2022の成果発表会後のアンケート結果の一部。
今野 学生も企業の担当者も一生懸命取り組んでいましたね。途中で投げ出す学生もいなく、企業側にとっても難しい課題だったけど、みんなでやり切ることができた。そうやって真摯に取り組むことができる人達が集まる場なんだと感じました。
永島 JIMOTOコラボという枠組みだからできているのかなっても感じていて。というのも、参画企業のみなさんへこの課題を提示した時に、「できるかわからないけど、まずはやってみましょう!」と言ってくださって心強かったですし、同じ志をもつみなさんだからこそできたことだと感じました。
彩子 課題の先にある「地域で人を育てる」という姿を一緒に握れているからでしょうね。今回のように、今後も内容をアップデートしてきたいですね。
高め合う関係性からつくられる土壌
永島 私と土田さんは企業担当として学生の受入れをしながら2022年度の事務局を担当させていただきました。私たちが成長し合えたこともたくさんあったなと感じています。
土田さん 私は、永島さんの姿にいつも感化されていましたよ。ユーメディアさんに入社直後にJIMOTOコラボインターンの事務局担当として参加してくだいましたよね?自分の会社のこともまだよくわからない状態だったと思うんですが、それでも自分はこう形にしていきたいという強い想いをもって参加されていて、想いを持っているだけではなく実際に行動されてJIMOTOコラボインターンを動かしていて、本当にすごいな~と思っていました。
永島 今日何も手土産持ってきてないんですが・・・笑
正直、参加し始めの時は、自分の中でのJIMOTOコラボインターンの理想しか持っていなかったんですが、取り組んでいくうちに、これまでの背景やみなさんの関係性、企業同士のつながりの強さがあるからこそできるんだと思うようになりました。その価値を大事にしたいと思っていますし、それは土田さんから繋いでいただいたものですよ。
土田さん いえいえ、ご自身でそうしていろんな仕事を読み取っていかれたんですね。
永島 手前味噌ですが、社内ではウラで強力にバックアップしてもらっているんです。
土田さん そうした他社さんの組織開発のような一面も、今回のJIMOTOコラボインターンを通して見ることができたのが、すごく勉強になりました。
小幡さん 今日は取材する側で来られている、永島さんの上司の西村さんにお伺いしたいのですが、任せ方の方針は何かあったんですか?
西村 そんな風に言っていただいてありがとうございます‥!これまでのJIMOTOコラボインターンの枠組みがあったので、その中であれば“失敗”なんてないと思っていて。また、それを受け止めてくださる企業のみなさまがいる、その土壌があるからこそ任せることができました。これもまたJIMOTOコラボインターンの価値だと感じています。
小幡さん 永島さんは途中から参加したように全然感じなかったので、人柄もあると思うけど、一生懸命引っ張ってくれたのがとても頼もしかった。弊社の土田は、最初のJIMOTOコラボインターンの時から参加してくれていて、当初から安心して任せられていましたが、実はこれまで事務局としての試練もたくさんあって。それを乗り越えてきた頼もしさがあるし、成長を感じています。
また、JIMOTOコラボインターンをきっかけに採用に応募してくれた学生も、人事の方がすごくよかったと言ってくれる声も多くて、会社の信頼にもつながっていると思います。
土田さん 環境が変わるごとに、どうしようと思うことはあったんですけど、それこそ企業の枠を超えて、みなさまに頼らせていただいていたので‥。
小幡さん 土田は、ずっと会社以外の地元の同期が欲しいという話をしていたので、それを自分の力でつくりあげてきているのかなと思います。
今野 土田さんの土壌に、人から学び、リスペクトして、お互いを高め合える関係性をつくっていこうとする気持ちがあるからですよね。そういう方々が揃って事務局ができているので、数々の試練も乗り越えてこられたんだと思います。だからこそ、「地域で人を育てる」をもう少し大きなテーマにして、企業担当者や学生が学び合う、私たち企業担当者同士が学び合うという2つの柱があってもいいなと思います。
あと、事務局担当でありながら学生も受け入れていたお二人は、実際はすごく大変だったと思うんですけど、楽しそうに乗り越えているように見えて頼もしかったですし、その姿がきっと周りにも伝わって、インターンをよりよくしていると思います。
永島 確かに「地域で人を育てる」には、「育ち合う」という想いがありますね。
企業の枠を越え「地域で人を育てる」ことでうまれる “誇り”
永島 みなさんは、これまでのJIMOTOコラボインターンから特にどんな成果を感じていますか?
小幡さん 昨年、事務局企業の社長を交えて今後の意見交換をした際に、規模拡大を目指すのではなく、「地域で人材を育てることに賛同してくれる企業さまと一緒にやっていきたい」「学生を第一に学生にとってよりいい機会をつくっていこう」という話としました。その理想にも近づいていると感じますし、事務局に参画したいと言ってくださる企業さまも増えてきています。
今野 「地域で人を育てる」って壮大なテーマなので、それを実現し続けることはすごく難しいのですが、みなさんの力で、実現することができる強いスキームになってきています。多くの方が、JIMOTOコラボインターンのコンセプトに興味や関心を持ってくださっているで、さらに大きなうねりにしていく為には何ができるかを、企業の枠を超えて対話できるというのは幸せなことだと思います。今後、さらに事務局を強化したり、関係者を増やしていくことができれば、さらに強いスキームになり、影響力も大きくなる。取り組む側も誇りを持てるし、そういう場づくりをしていきたいですね。
土田さん インターンシップなので、対象は学生であるけれど、気が付いたら私たちも学び合っていますよね。地元企業が同じ志をもって集まった時にできることの可能性って、無限だと感じます。今後、階層や職種も限定せずに学び合える場がつくれるといいですね。
今野 今後はもっと企業の枠組みの敷居は低くなっていくと思います。時々「そういえば、違う企業でしたね‥!」と思うこともあるんですけど、そういう繋がりって素敵だし、いろんなことを生みだせる可能性がさらに広がると思うんですよね。ただ、個別で持っている強みもあるので、それをいつでもぶつけ合える関係性が機能していくとおもしろいですね。
永島 2023年度は、学生に限らず、志を同じくする企業同士が育ち合う、企業の枠を超えたつながり、対話の場のからうまれる可能性を体現させていきたいと思っています。人事同士の勉強会や若手社員同士の交流会など‥そういう場を創っていきたいです。
土田さん 担当企業に限らない学生同士の交流の機会や、企業間でもフランクな横のつながりを持てたら、さらにいい場になっていくと思います。
今野 JIMOTOコラボは経営者の方が深く賛同してくれることも大きな特徴のひとつなので、経営者の参画の形も考えていきたいですね。ミートアップイベントみたいなものもできたらいいかも。
小幡さん 企業間に加え、時間のつながりを持たせられるといいなと思います。例えば、インターンシップは3年生が中心ですが、1年生2年生から参加して関係性をつくり、地元企業に入社した後もその関係性が続いていくような。ゆくゆくは、JIMOTOコラボインターンに参加した学生が、インターンで考えた“実現したいミライ”を入社後に若手社員として一緒に叶えていくことに挑戦していけたらいいですね。
永島 時間のつながりっていいですね。
小幡さん あと、今は学生は参加者という立場だけど、今後は、企業と学生みんなでつくっているという形にしていきたいです。大学の方も賛同してくれているので、連携していき、学校というフィールドも交えて一緒にやれたらいいですね。
今野 それらが実現していくと、もっと複層的な「JIMOTOコラボ」としてのスキームがうまれてくると思うんです。宮城に残る理由やUIJターンで宮城に来る理由になったり、私たちも宮城で働く意味が深まったり。“JIMOTOコラボがあるから”地元に戻ってきた、地元で就職しようと思う、働きがいをもって人とつながりながら頑張ることができた。「JIMOTOコラボ」がそんな存在になるといいなと思っています。
永島 地元で就職を考えるときって首都圏と比べてしまいそうになりますが、地元だからできることの価値を見つけて、誇りを持って仕事ができている姿っていいですよね。「JIMOTOコラボ」のスキームにいる人はみんなキラキラして素敵だなと思っていただけたらいいですね。
広報担当後記
私自身も事務局担当として改めて、取材にご協力いただいた(株)SKホールディングスの小幡さんや土田さんをはじめとした企業の枠を超えて志を共有しあえる、多くの方々の心強い存在を深く感じる時間となりました。また、今回は事務局担当者よりこうして想いをお伝えしましたが、JIMOTOコラボインターンに参画してくださる企業のみなさまが、同じ志を持って、一緒に悩み迷いながらも、それでも前向きに共に挑戦をしてきたJIMOTOコラボインターンの歩みが確かにあります。2023年度のJIMOTOコラボインターンは、より企業の枠を越えてうまれる可能性を実現していくことを目指し、より高いところに目線を置いて、新たな試みに挑みます。今後も当社のMAGAZINEでは、その挑戦の姿をお伝えしていきたいと思います。
座談会の様子。定禅寺ヒルズにあるIDOBAをお借りして、定禅寺通からの光が差し込む部屋で、終始和やかな雰囲気で取材をさせていただきました。企業の枠を越えて、熱量の高い話をしながらも、こうした雰囲気でフラットに対話ができる、そんな場こそ「JIMOTOコラボインターン」がうむ大きな価値ですね。
関連リンク(外部リンク)
・SKグループ(株式会社サイコー、株式会社SKトレーディング、株式会社ステップスナイン、株式会社SKホールディングス)企業情報サイト
・JIMOTOコラボインターン公式サイト
取材で使用させていただいた場所
定禅寺イノベーションプラットフォーム『IDOBA』
コワーキングスペースでもシェアオフィスでもない新たな価値を創出する場
運営:株式会社雑談会議(株式会社仙台協立様、株式会社All Black Inc.様、SKグループ様)
住所:仙台市青葉区国分町三丁目3-1 定禅寺通ヒルズ5階
Credit
Writer&広報担当後記/阿部ちはる
Photo/西村聡美