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【vol.03】STRONG

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仙台市内を中心にアミューズメント業や不動産業などを営む株式会社百反。代表取締役の岩本富貴氏は、4月より仙台商工会議所青年部(以下、仙台YEG)(※1)の平成31年度会長に就任されました。仙台YEGの活動を通じ、親交を深めてきた両社長。和やかなムードで対談がスタートしました。

(※1)仙台商工会議所青年部(仙台YEG)…仙台商工会議所の青年部会。地域社会の健全を図る商工会議所活動の一翼を担う。地元中小企業の若手経営者や次世代経営者など、現在約250名が所属している。


 

今野/平成31年、そして令和元年を迎えるこの新しい年に、仙台YEGの会長ご就任おめでとうございます。今回、初めて当社が『Solidarity(ソリダリティー)』(※2)の制作に携わらせていただき、仙台YEGの一年を振り返ってみて、本当に濃い活動を行っている組織だなと改めて感じました。

(※2)『Solidality』…毎年4月に発行している仙台YEGの一年間の活動報告誌。2019年4月発行号の制作を(株)ユーメディアが担当した。


岩本社長
/平成30年度は西牧潤会長のもと、「ステップアップ 情熱のチカラで高みを目指す!」をスローガンに、今までの活動に磨きをかけるとともに、新しい試みにも挑戦した一年でした。青山学院大学陸上部監督の原晋氏をお招きして1000人規模の記念講演を行ったのもその一つ。仙台YEGメンバー一人ひとりがステップアップでき、結果、仙台YEG全体のステップアップに結び付きました。

今野/仙台YEGは会長の個性で引っ張っていくようなところがありますね。昨年度、私は情報発信委員会に所属し、対内的、対外的にさまざまな情報発信に努めました。この3月で仙台YEGを卒業させていただきましたが、振り返ってみると西牧会長のもと、「ステップアップ」という同じベクトルで取り組めた一年だったなと思います。

岩本社長/そういえば、ウェルカムパーティー(※3)のときには情報発信委員会の方々が、役員会での会議の模様を寸劇で紹介してくださいましたよね。新入会員にもわかりやすかったと好評でしたよ。それにしても、あのときに均さんが作成されていた資料の膨大さには驚くと同時にとても勉強になりました。

(※3)ウェルカムパーティー…毎年夏に開催される新入会員歓迎会。仙台YEGの魅力や楽しさを伝えることを主目的に催され、各委員会が趣向 を凝らした出し物を披露する。

今野/そうですか、ありがとうございます(笑)。今年のスローガンは「STRONG! 仙台YEG~会員メリットを追求し所属価値を高める~」ですね。

岩本社長/「STRONG」というと力強さ、パワーといった面が強調されがちですが、強さにも「しなる強さ」や「変化に対応する強さ」もありますよね。そうした様々な強さを含めての「STRONG」です。仙台YEGの立ち上げ時から在籍して18年。いろいろな面でチャレンジし、交流や研鑽はできていますが、果たして本業に何を持ち帰れているのか、活動の先に何があるのかを考えたときに、もっとできることがあるのではないかと思ったんです。会員には仙台YEGにもっと会員メリットを求めてほしい、所属価値を強く感じて貰いたい。それには一人ひとりの意識を高め、各事業が持つ影響力、情報力、発信力といった事を徹底的に追求し、そして会員同士の結束力を高めて行く必要があります。それらを仙台YEGという枠に当てはめ、融合させ、結束することで、より「STRONG」になっていこう。そうすれば会員メリットが向上し、所属価値も高まる。スローガンにはそんな思いを込めました。

今野/卒業した立場だから言えるのかもしれませんが、せっかく入会してもうまく会を使いこなせていない人が多い印象はありました。実務が忙しいのはわかるのですが、入った以上は何かを得ないともったいないですよね。

岩本社長/そうですね。せっかく会社の代表として入ったのだから何かを得るのはもちろん、自社の社員や家族に胸を張れるような行動をとらないと、会議所活動をやる資格はないと私は思っています。私の役目の一つは会議所活動に参加するきっかけを作ってあげること。メンバーの頑張りを認めてあげながら、「入ってよかった」という人を増やしたい。これは会社でも同じことですが。

今野/こうした青年系の団体は、本当に良い修練の場だと思います。バラバラなメンバーが個性をぶつかり合わせるからこそ成長できる。個性的なメンバーを目的に向かってどういう方針、方策で導いていくか、新会長の腕の見せ所ですね。





今野
/当社は「事業を通じて地域を元気に」というビジョンを掲げています。イベントをやるにしても、単に儲かったから良しではなく、なぜやるのかという目的の部分を大事にしています。これは震災を経たからこそ気づけたビジョンです。仙台YEGにも単年ごとのスローガンとは別に、大本となるビジョンが必要ではないですか?会長が単年度制なので継続展開が難しい部分もあるのかもしれませんが…。

岩本社長/ビジョンの作成に合わせ、政策提言は会として一歩踏み出すために不可欠なことだと思っています。そもそも商工会議所自体が政策提言団体ですから。今年度はそんな商工会議所の活動の本義ともいえる「政策提言の作成」と「ビジョンの作成」に力を入れていく予定です。それには「伊達な風会議」(※4)も活用し、我々の生の声を市や県、国に聞いてもらう。僕らだから言える意見を提示する、あるいは行政が考えていることを後押しする。どういう形になるか模索中ですが、政策提言委員会を中心に検討していきます。青年部としてきちんと行政に提言をしたという報告を、地域に向けて発信できるようにしたいですね。ただ提言書を出すだけだと単年度で終わってしまう可能性が高いので、そうならないよう、ビジョンと政策提言をきちんと掲げてやるつもりです。会長の交代で枝葉の部分が変わっても、絶対に変わらない核となる部分をつくらないと、地域に対して信用が根付きませんから。

(※4)「伊達な風会議」…仙台YEG会員と仙台市・宮城県・東北経済産業局の職員が一堂に会し、地域の課題とその解決に向けて話し合う会議。 平成26年度より毎年開催している。

 

今野/仙台YEGは、街や企業、商店、そこに住む人たちとの接点が作りやすい組織だと思います。ぜひその特徴を活かしてビジョンを作ってほしいですね

岩本社長/はい。12月までにはビジョンと政策提言書のたたき台を作り、来年1月の新年会でメンバーに発表し、さらに揉んでブラッシュアップし、3月に親会である商工会議所や市長に提言書を提出して一年を締めくくりたいと思っています。

今野/YEG=Young Entrepreneurs Group(ヤング・アントレプレナーズ・グループ)だから、みなさん起業家(entrepreneurs)なんですよね。イノベーションを起こしていこうという精神を持っている会員の方も多い。本業で面白いことをしている人もたくさんいますし、仕事面での連携も今後どんどん増えていくのではないですか?

岩本社長/はい。最近話題のUber (ウーバー)と仙台中央タクシーによる配車サービス(※5)、あれも実は仙台YEGメンバー間の何気ない会話から生まれた新ビジネスなんです。

(※5)Uberと仙台タクシーによる配車サービス…米配車大手ウーバー・テクノロジーズの日本法人ウーバー・ジャパン(東京)と仙台中央タクシー(仙台市)による、スマートフォンのアプリを使ったタクシー配車サービス。2019年2月、仙台市内で事業スタートした。

今野/会議所活動を本気になって汗をかいてやっているからこそ、根が張れて信頼が生まれ、そうした連携ができていくわけですね。汗をかいてと言えば、「杜の都 kidsウォークラリー」(※6)もとてもいいイベントですね。 

(※6)「杜の都 kidsウォークラリー」…自分たちが暮らす街・仙台への理解や親子の絆を歩きながら楽しく深められる、仙台YEG主催の人気イベント。

岩本社長/今年で34年目となる歴史あるイベントで、毎年2000数百人もの方にご参加いただいています。

今野/子どもたちのキラキラした笑顔におじさんたちも元気をもらえます(笑)。子どもがのびのび生き生きとしていることは、地域が元気な一つの形ですよね。私は常に地元の経済人として子どもたちに対してできることを考えているんです。かと言って子どもを対象に事業収益を高めることは矛盾がありますから、自分たちのビジネスで培ったノウハウを駆使し、仙台YEGのような団体で子ども向けのイベントを実施していくというのはとてもいいことだなと。それがまた新しいノウハウとなって自分たちのビジネスにいい影響を及ぼしていくことにもなるでしょうし、そこでできたネットワークで新しいムーブメントが生まれるという流れもできるのではないかなと期待しています。

岩本社長/おっしゃる通りですね。それと、ウォークラリーを通して子どもたちに、知らなかった仙台の魅力を発見し郷土愛を育んで貰いたいのと同時に、仙台YEGの素晴らしさを伝えたいという思いもあるんです。今年参加してくれる子どもたちが、10年後、20年後に会に入ってくれるかもしれませんから(笑)。仙台YEGの意義をつないでいくためのツールとしても大切なイベントだと思っています。

今野/仙台YEGは同好会活動も盛んですし、運動会や芋煮会など家族で楽しめるイベントも多彩なんですよね。芋煮なんか青果店を営む会員が契約している畑で野菜の収穫からスタートしますもんね。あれは子どもたちも楽しんでいました。

岩本社長/会員のご家族へのおもてなしは半端ないですよ(笑)。ご家族の理解あっての商工会議所活動ですから。意外と楽しい柔らかめの活動も多いです。そういえば先日の納会での卒業生の出し物、すごくよかったです。均さんも頑張って「U.S.A」を踊っておられましたね(笑)。

今野/当日必死に練習しました(笑)。



今野/仙台YEGには、「地域の経済的発展の支えとなる」という基本目標があるかと思います。地域の活性化のためには、若者の地元定着率向上も大事な政策の一つですが、仙台YEGはそれに関してどんな活動をしていますか?

岩本社長/先日、「四方よしツアー」(※7)というものを初開催しました。仙台YEGのメンバーがアテンド役となり、大学生、短大生を中心とした学生さんたちを連れて企業訪問を行ったのですが、地元企業の経営者と直接触れ合い、仕事の現場を共に体験してもらうことで、地元企業で働く素晴らしさを学生さんに伝えることができたと思います。企業側からも良いPRになったとのお声をいただき、双方にとって有意義な事業になりました。その節は御社のグループ企業であるプレスアート様にも大変お世話になりました。

(※7)「四方よしツアー」…正式には「百聞は一見にしかず! 四方よし! 経営者と共に歩く地元企業ツアー」。2019年2月に実施。

今野/採用難の時代と言われていますが、御社ではどのような方針で人材を採用していますか?

岩本社長/当社では現在は新卒という形には拘って採用しておらず、365日、シルバー層も受け入れています。私の父である会長は今年69歳ですが、私よりも元気ですから。年齢ではなく人間性を重視していますね。ただ、仙台YEGのつながりで学生さんの声を聞く機会も多いので、新卒採用についても改めて考えているところではあります。

今野/御社のシニア層を積極的に活用しているというお話、当社にとっては課題でもありますので非常に興味深いです。

岩本社長/自分は20歳で入社していますので、年上の人と接する方が多かったので、年上の方と仕事する事に抵抗もありませんし、楽というのもあるんです。そして何より長く頑張って来てくれた人の方が信頼が置けるし、言いたいことも理解してくれますから。当社では86歳まで経理で頑張ってくださった方がいますよ。年を取って体がきついというのであれば、その人に合った仕事を作ってあげたいですね。

今野/閉塞感のある世の中で、中小企業なりにできる範囲で頑張っているのはとても尊いこと。それが地域活性化、雇用につながっていくんだと思います。当社も特に震災後の仕事では、できることを少し背伸びして頑張って行けば、自然と一人、また一人と仲間が増えていくという手ごたえを感じています。御社も超高齢社会という課題にしっかり向き合って取り組んでいることを、もっともっと発信していってほしいですし、我々もそのお手伝いをしたいです。

岩本社長/気づいたらシニアが多かったというだけかもしれませんが(笑)。やはり若い人にとってみたら、年上の存在というのはとても大きいですよ。私にとってはシニアというより、人生の先輩方という感じですね。

今野/そういう岩本社長のマインドが、社員にも浸透しているんでしょうね。年齢、性別、キャラクター関係なく、誰にでも懐にしっかり入っていってコミュニケーションを取れるのが、岩本社長の良いところだと思います。根本的に人が好き、人と会話をするのが好きなんだろうなと見ていて感じます。それは、より相手を知りたい、その人のためになりたいという思いがあるからこそできること。本当に素晴らしいです。一企業の代表取締役として、また仙台YEGの会長として、目指すリーダー像はありますか?

岩本社長/私の父のようなリーダーですね。父としてというより、働く人として、いろいろな時代を乗り越えてきたところを尊敬しています。前向きと言われる父ですが、本当に苦しいときにはネガティブになったこともあったと思います。それでも絶対に諦めない姿勢が最終的に道を切り開くことにつながりました。私も落ち込むこともあるでしょうが、どんなときでも諦めない、自分に限界を決めない人になりたいです。それをどう本業や仙台YEGで体現できるか、ですね。均さんはいかがですか?



今野/私は基本的には「自分で考えて動く組織」のリーダーでありたいと思っています。だから社員には考えてもらい、動いてもらい、動いた結果を検証してもらい、反省して次につなげていってもらう、私はそのサイクルを埋める環境づくりを心がけているつもりです。でも、考える方向性、いわゆる「価値判断基準」だけは、密なコミュニケーションを取ることでしっかりと合わせるようにはしています。価値判断基準が同じであれば、どんどん任せていくようにしていますね。

岩本社長/勉強になります。均さんのその考えはずっと一貫していますね。

今野/最近は私が絡むよりも自分たちで考えて進めた方が良いものができるとみんな思い始めてくれているようです(笑)。

岩本社長/御社のワインのイベント(※8)なんかも若手社員が考えて実行したんですよね。うちも、もっともっと社員が輝く場面を演出しないといけないな、と思いました。

(※8)ワインのイベント…「杜の都のワイン祭り『バル仙台』」。2016年にスタートし、年々認知度を増している。企画はもちろん、出店者・協賛 企業への営業、場所の確保、告知、当日の運営、終了後の集計や結果報告まですべて若手社員が手がける。2019年7月にも開催予定。


今野
/最近仕事をしているうえで思うのは、自社でできることを増やして事業展開してこうという思いと同時に、地域の抱える課題を解決していかなければいけないということ。その際、仙台YEGとの事業的な連携が必要になってくる場面もあるかと思います。今回、会長になられた岩本社長には、商工会議所の青年部会だからこそ、ビジネスの活性化を思いの一つに据えていただきたいというのはぜひお願いしたいところです。私も卒業したから終わりではなく、卒業生としてOBやOGの方々とも連携しながら、地域発展のためにという信念をもって行動していきたいと思います。

岩本社長/今回、こうした対談の場を設けていただき、大きな学びの場、経験の場になりました。均さんのおっしゃるビジネスとの関わりも頭に入れながら、同じ仙台YEGの仲間としてつながった横の連携を拡大させ、地域に影響力を出せるようしっかり発信していきたいですね。そして、仙台YEGの可能性をさらに模索していきたいと思います。令和元年がスタートするこの年、関わる方々が成長できるような活動を行い、一年経って振り返ったときに均さんに「これだけ会が成長しましたよ」と胸を張れるように頑張ります。今日は貴重な機会をどうもありがとうございました。

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