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U-MEDIA MAGAZINE

【vol.04】地元企業の連携から、地域発展へ

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 1957年に仙台で創業し、イタリアン、カフェ、焼き鳥、うどんなど様々なジャンルで18店舗を展開する株式会社ハミングバード・インターナショナル。

同社とユーメディアは、今年8月、仙台市青葉区・勾当台公園内に、東北の魅力を発信し人々の交流拠点となるカフェ・レストラン『Route 227s’ Cafe(ルート ニーニーナナ カフェ) TOHOKU byhumming bird(以下、Route 227s’ Cafe)』をオープンさせます。

同社の青木聡志社長からの呼びかけによって実現したこの「企業連携」について、本格スペイン料理『南欧バル INATORA(イナトーラ)』の開放的な雰囲気の中で両社長が語り合いました。

 

勾当台公園市民広場に、東北の魅力発信拠点を設置するカフェ・レストランの運営を軸にした計画が進行中。カフェ・レストランの運営をハミングバード・インターナショナルが行い、その情報発信をユーメディアが行う。

―今回、両者が連携するに至った経緯を教えてください。

青木社長/今、全国各地で“公園の利活用”が進んでいますよね。私は以前から、仙台でもそういう動きをもっと推進すべきだと考えていました。仙台市の公園課様に直接提案しに行ったこともあったんです。それをきっかけに、仙台市が勾当台公園に新しいカフェを作る計画があることを知りました。しかし、単に飲食店ではなく、“東北の文化の発信拠点に”という目的を持つ場所だったので、弊社だけでは無理だなと。そういう多面的な分野を担えるのは、様々な地域と取組みをされているユーメディアさんしかいないと思い、今野社長に直接相談をさせていただきました。

今野/私たちはこれまで、市内の公園を活用したイベント事業を実施してきましたが、開催期間が限られる「イベント」という形だけでは解決しきれない地域課題もたくさんあり、何か他に策はないかと考えていました。そんなタイミングで青木社長からこの相談をいただいたんです。ですので、私たちが感じていた課題の解決にもつながるのではないかという期待感がありました。そして青木社長とは、この事業がスタートする以前から、「何か一緒にやりたいね」と話をしていましたよね。そうやって、日頃から連携の機運を高めていたことが、今回スムーズに連携体制を組めた要因なのかなと思います。夜な夜な一緒にお酒を飲んでいるのは、こういう時のためですよね(笑)。

青木社長/そうです(笑)。「地域の課題を解決する」という視点は、2010年にこの「南欧バル INATORA(イナトーラ)」をオープンさせる時、我々も深く考えたことがあったんです。
国分町は東北随一の歓楽街と言われていますが、実はその当時、イナトーラ前の辻(交差点)は、シャッター街のような暗い雰囲気でした。そういう場所にお店を出すことはもちろんチャレンジでしたが、私たちは、この辻と街全体を明るく変えたいと考えたんです。だからお店はあえて、全面ガラス張りにしました。最初の1ヵ月はお客様が少なくて大変でしたが、徐々に人が集まるようになって、それを通りから見た人たちがさらに来店してくれるようになりました。周囲からは「辻が明るくなった」「街の雰囲気が変わった」との声をいただき、効果を実感できたんです。


南欧バル INATORA

 


仙台オクトーバーフェスト

今野/そうでしたよね。イナトーラができてから、この辺りを歩く人の層が変わりました。街を元気にするためにチャレンジする精神には、とても共感できます。私たちも日頃、自分たちから主体的にイベントなどを仕掛けることによって、人や街を元気にすることを目指しています。そういう意味で、会社としての根っこが同じだからこそ、今回連携することができたのだとあらためて強く感じました。

青木社長/飲食業は特に、お客様が来てくれないと成り立たない業種です。だからお店を磨き込むことが大切なんですが、それ以前に、街を歩く人を増やすことが重要です。そうしないと、サスティナブルな街づくりにつながらないんですよね。これからインバウンドを促進するためにも、東北全体が手を取り合って連携する体制を作らないといけないと思います。

今野/そうですね。私たちは、地域の中に眠っている魅力的なコンテンツを発掘し、磨き上げ、外に向けて発信するお手伝いをしていますが、インバウンドのためだけにそれをするのではなく、近場の交流人口を増やすためにこそやるべきだと思うんです。まずは東北の中で相互の交流が活発に行われることで、人や街が元気になり、そこで新しいコンテンツが生まれ、インバウンドにつながっていく。Route 227s’ Cafeは、東北の全市町村がそれぞれ主役となり、互いの地域を知ることができる拠点なので、ここからますます人の交流を活発にするうねりを生み出していきたいですね。

 

―Route 227s’ Cafeの事業に取組むことにより、あらためてお互いへの気づきはありましたか?

青木社長/ユーメディアさんのお仕事を見ていて、関係各所からの情報や意見はもちろん、個々の思いを同時にとりまとめて“編集”しながら事業を進めていく力が、本当にすごいと思いました。これまで私たちは、「食」という側面から課題解決を考えてきましたが、ユーメディアさんはいろんな発想やコンテンツを持って多面的に見ていらっしゃるので、これからの展開がますます楽しみですね。

今野/ありがとうございます。逆に、飲食業の経験がない我々としては、店舗経営に必要なハード面の手配や収支の試算など、御社のあらゆる情報をはじき出すスピードの速さに大変驚きました。多くの実績と経験を持っているからこそできる、プロの仕事ですよね。

青木社長/そう言っていただけてうれしいです。私は東日本大震災の時、「食を供給することの大切さ」にあらためて気づきました。社会の中で基礎的な役割を果たすという意味でも、飲食店は絶対に続けなきゃと思っています。しかし、仙台という街において、飲食業という一業態だけで生き残るには限界があるんですよね。だから、飲食業は手段の一つと考えて、業態・事業を拡大しています。「食」というものを軸として構えつつ関連ビジネスを進めることによって、仙台の食を途絶えさせない、発信力を高める事業に関わっていきたいです。

今野/実際に青木社長は、今回のRoute 227s’ Cafeだけでなく、地域の活性化のためにいろんなことを実行されていますよね。

青木社長/今は、イナトーラ前のこのストリートを夜市にしようと考えているんです。「隣のお店は敵」ではなく「仲間」であって、「みんなでこの通りに人を呼ぶぞ!」という、街全体で活力を広げる考え方が重要だと思います。


(右写真)INATORA前のストリート

今野/そうですよね。先ほど、「飲食業は手段の一つである」というお話がありましたが、私たちにとっても「印刷業は手段の一つ」なんです。創業から60年、地域の皆さまにお役立ちしてきた事業ではありますが、お客様の課題を解決しようとした時に印刷以外の手法もたくさんあるので、今はその中から最適な方法を選んでいくことが大切だと思っています。

青木社長/私たちが考えていることって、全く同じですね(笑)。

―考え方が似ているお二人だからこそ、今回素晴らしい連携を組めたのだと思います。これから地域に新しい価値を生み出していくために、地元企業同士が連携する上で大切なことは何だと思われますか?

青木社長/私は、「もたれないこと」だと思っています。例えば、「ここと組むと、自分たちにとって得がある」という考え方だと連携はうまくいかない。むしろ、「私たちと組むことで、相手に得を感じてもらおう」というスタンスをそれぞれが持つことで、初めて連携が成り立つと思うんです。だから、個々が持っている力をそれぞれに伸ばしながら、一緒にやれてよかったと思える関係性を築けるといいですよね。

今野/同感です。社会の中には「救済」を目的とした連携もありますが、今回私たちが目指したのは、マイナスを補完し合う関係ではありません。考え方が近しい我々がタッグを組むことによって、一社だけでは生み出せなかった新たな価値を創出することができ、そしてその価値が、地域全体のメリットになっていく。そういった連携こそが、今やるべきことだと思います。

 

 

―お二人は今後、「会社」と「人」をどのように育てていきたいとお考えですか?

青木社長/私がこの仕事に就いて最初に立てた目標は、「胸を張って名刺を出せる会社にする」ということでした。飲食業はいまだに、お給料が安いとか休みがないとか、ネガティブに見られてしまうことも多いので、業界全体の地位向上を見据えながらも、まずは社員に胸を張ってもらえる会社にしたいです。そして、仙台市民の皆様にとっても、「仙台にはハミングバードがある!」と自慢してもらえるような会社にしたいと思っています。

今野/ハミングバードさんも昨年末、「地域未来牽引企業※」に選ばれましたよね。
※地域未来牽引企業…地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済の中心的な担い手、および担い手候補である企業を経済産業省が認定している。

青木社長/そうなんです。地域の未来を牽引していくお役目をいただけたと思っているので、大変ありがたいですし、今まで以上に地域活性化のための結果を残さなければいけないなと感じています。

 

「INATORA」には、東北にスポットをあてたメニューも

 

ユーメディアが地域とともに取り組む「伊達美味マーケット」

 

今野/そうですね。私は、ユーメディアという会社を「地域に必要とされ続ける存在」として育てていきたいと考えています。先ほど青木社長からも震災のお話がありましたが、私はあの時、「情報」を人に届けることの重要性に気づいたんです。情報がなければ、人は動きようがないし、情報があるからこそ、人の活動が活発になりますよね。そういう意味で、「コミュニケーション支援企業」を名乗る私たちは世の中に必要なんだと思えたんです。だから、これからも地域に必要とされ続ける存在でありたいですし、そのために、会社として、挑戦や努力を続けていくべきだと感じています。「人」の育て方については、青木社長はどう思われますか?

青木社長/私は社員にもアルバイトにも、「自分で考え行動すること」を伝えています。飲食業は、「どうしたらお客様に喜んでいただけるか」を考えて行動に移すと、お客様から「ありがとう」と言っていただける職業なんですよ。そういう、お客様のことを考えて動き直に反応を得る“経験サイクル”をどれだけ積んだかによって、人としての成長度合いが変わります。主体的に動くことによって、相手に対する気遣いやコミュニケーション能力が身に付くので、飲食業は格好の成長の場だと思っています。

今野/“経験サイクル”という考え方、とてもおもしろいですね。私たちが目指す人材育成も同じで、どんなことにも「自分が主役だ」という気持ちで取組んでくれる社員を育てたいと思っています。実際に、そういうモチベーションで仕事をしている社員のパフォーマンスは見ていて楽しいし、心地良いんですよね。御社の店舗で働くアルバイトの方だと、これからの地域を引っ張っていく若い世代や学生が多いでしょうから、学生のうちから地元企業との関わりを持つことができると、就職活動を迎えた時に企業にとっても学生にとっても双方のメリットがありますよね。

青木社長/そうですね。首都圏の方では、まち起こし事業に学生インターンが参加して大きな成果を残している事例もありますから、Route 227s’ Cafeを活用して、地元の学生たちに活動の場を提供できたらいいですよね。

今野/そう思います。まだ構想段階ではありますが、就職面接以外の場で、企業と学生がお互いを深く知ることができる機会を作りたいんです。その一つの施策として、ハミングバードさんやいくつかの地元企業と連携して「コラボインターン」をやりたいと考えています。業務だけでなく、人材育成でも積極的に企業連携に取組んでいくことが、地域全体の発展につながっていくと感じています。


青木社長/ユーメディアさんが目指していることや仕事への取組み方を深く知ることができましたし、私たちはとても似ている考えを持っていることがよく分かりました。これから一緒にお仕事ができるのは本当に楽しみだなと、あらためて感じた貴重な機会となりました。ありがとうございました。

今野/青木社長のお話を聞いて、考えることと行動することのバランスがとても素晴らしく、大変良い刺激をいただきました。Route 227s’ Cafeだけでなく、国分町の夜市の構想など、仙台をさらに活性化させるべく様々な取組みをされていらっしゃるので、もっとたくさんお話を聞いて、ご一緒できたらと思いました。今日は本当にありがとうございました。

 

関連サイト

◎株式会社ハミングバード・インターナショナル
◎「南欧バル INATORA」店舗情報
◎Route 227s’ Cafe TOHOKU by humming bird

Credit

Creative Director & Designer/ 田向 健一
Interviewer/ 岩本 理恵
Writer / 澤田 朱里








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